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フロン類

クロロフルオロカーボン(フロン)は、人工的に作られた物質であり、温室効果を持つとともにオゾン層を破壊する原因物質でもあります。
現在は「オゾン層を破壊する物質に関するモントリオール議定書」、「特定物質の規制等によるオゾン層の保護に関する法律」により、国際・国内的に生産等の規制がなされています。

気象庁の観測点における大気中のクロロフルオロカーボン類濃度の経年変化

気象庁の観測点での大気中のクロロフルオロカーボン類濃度の経年変化

一部は速報値です。pptは体積比で1兆分の一を表します。


 気象庁の観測地点である綾里における大気中のCFC-11、CFC-12及びCFC-113の月平均濃度の経年変化を示します。
 各要素いずれも季節変動は認められません。
 要素別にみると、CFC-11は、次に示す世界の経年変化と同様に、1993~1994年の約270pptをピークとして減少、CFC-12は増加が1995年頃から緩やかになり2005年頃をピークに減少、CFC-113はごく緩やかな増加が2001年頃までに止まり、その後減少傾向がみられます。



世界における大気中のクロロフルオロカーボン類とその他のハロゲン化合物類の濃度の経年変化

温室効果ガス世界資料センター(WDCGG)に報告されたデータを用いて作成した経年変化図です。
対象とした気体は、以下のとおりです。
・CFCs(CFC-11、CFC-12、CFC-113)
・ハロン類(Halon1211、Halon1301)
・HCFCs(HCFC-22、HCFC-141b、HCFC-142b)
・四塩化炭素(CCl4
・1,1,1-トリクロロエタン(CH3CCl3
・HFC(HFC-134a、HFC-152a)
・クロロメタン(CH3Cl)
・六フッ化硫黄(SF6)

大気中のハロカーボン類の濃度の経年変化

 要素別にみると、CFC-11は1992~1994年頃を境に減少傾向に転じています。CFC-12は2005年頃まで増加し、その後減少傾向に転じています。CFC-113はCFC-11と同様な傾向を示し、北半球で1993~1994年頃を境に、南半球では1997年前後を境としてゆるやかな減少傾向に転じています。これらの傾向の違いは、放出量の減少と共に、それぞれの物質の大気中の寿命を反映していると考えられます。
Halon1211は2005年頃まで増加していましたが、その後減少傾向に転じています。Halon1301は現在も増加し続けています。

HCFC-22及びHFC-134aは増加を続けています。
HCFC-142b、HFC-152aも増加していますが、近年は増加が緩やかになっています。
HCFC-141bは2005年前後に増加が緩やかになっていましたが、近年再び増加が急になっています。

CCl4は、1991年頃を境に増加から減少に転じています。
CH3CCl3は、北半球で1992年頃、南半球で1993年頃を境に増加から減少に転じています。
CH3Clは、季節変動が明確に見られますが、経年変化はほとんど見られません。
SF6は増加を続けています。


解説

 特定フロンであるCFC-11、CFC-12、CFC-113、またCCl4、CH3CCl3は、モントリオール議定書に基づく規制により、1996年には先進国での生産は全廃されています。
 これらの濃度を見ると、工業生産による増加とモントリオール議定書締結を受けた生産規制による増加の停止又は減少傾向がはっきり見て取れます。
 減少傾向の違いは、放出量の減少とともに、それぞれの物質の大気中の寿命を反映していると考えられます。

 CCl4及びCH3CCl3については、ともに1990年代前半を境に、それまで上昇傾向だったのが減少に転じています。
 特にCH3CCl3については、急激な減少により、現在の濃度は一番古い観測データのある1978年よりも低い値となっています。
 これは、CH3CCl3の放出が急速に減少したことと、寿命が他のハロカーボン類に比べて相対的に短い(約5年)ことによります。
 また、フロン類は工業的に生産されるものがほとんどであるため、南半球より北半球の濃度が高めの傾向を示しています。

 ハロン類も、モントリオール議定書に基づき、先進国では1994年に特定ハロンの生産が全廃されています。Halon1301の濃度は現在も増加し続けていますが、Halon1211については2005年頃から減少傾向に転じています。

 一方、気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の第5次評価報告書(IPCC, 2013)でも指摘されているように、代替フロンとして生産が増えているハイドロクロロフルオロカーボン類(HCFC-22、HCFC-141b、HCFC-142b)やハイドロフルオロカーボン類(HFC-134a、HFC-152a)は増加し続けています。また、配電システムやマグネシウムの生産、半導体の製造等に使用される六フッ化硫黄(SF6)は、急速に増加しています。

参考文献

IPCC (2013): Climate Change 2013: The Physical Science Basis. Contribution of Working Group I to the Fifth Assessment Report of the Intergovernmental Panel on Climate Change [Stocker, T.F., D. Qin, G.-K. Plattner, M. Tignor, S.K. Allen, J. Boschung, A. Nauels, Y. Xia, V. Bex and P.M. Midgley (eds.)]. Cambridge University Press, Cambridge, United Kingdom and New York, NY, USA, 1535 pp.



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