一酸化炭素

 一酸化炭素は地球表面からの赤外放射をほとんど吸収しないため、温室効果ガスではありません。
しかし、対流圏オゾンの前駆物質であるとともに、OHラジカルとの反応を通して他の温室効果ガス濃度に影響を与えます。

 温室効果ガス世界資料センター(WDCGG)の解析による2021年の大気中一酸化炭素の世界平均濃度は95ppb※1となっています。
※1 ppbは大気中の分子10億個中にある対象物質の個数を表す単位です。

気象庁の観測点における大気中一酸化炭素濃度の経年変化

気象庁の観測点における大気中一酸化炭素濃度の経年変化

月平均濃度と季節変動を除いた濃度。一部は速報値です。
南鳥島では観測装置の不具合及び台風の被害により、2004年1月から2006年10月まで月平均濃度を算出していません。

 気象庁の観測地点である綾里、南鳥島及び与那国島における大気中一酸化炭素濃度の経年変化を示します。
 各地点とも、冬から春に極大、夏に極小となる季節変化を示しています。また、1997~1998年に濃度の上昇がみられますが、インドネシアやシベリアでの森林火災と関係している可能性があります。2002~2003年にも1997~1998年ほど明瞭ではありませんが、濃度の増加傾向がみられます。
 一酸化炭素の大気中での寿命は2~3か月であり、放出源との関係により、濃度は空間的、時間的な変動が大きいのが特徴です。

緯度帯ごとに平均した大気中一酸化炭素濃度の変動

緯度帯ごとに平均した大気中一酸化炭素濃度の変動

 WDCGGが収集したデータをもとに、緯度帯別に平均した大気中一酸化炭素の月平均濃度の経年変化を示します。
 冬季から春季にかけて濃度が高く、夏季には濃度が低くなる季節変動が明瞭にみられます。また、北半球中高緯度で濃度が高く、南半球では低くなっています。 これは、主な放出源が北半球中高緯度にあり、OHラジカルの多い熱帯海洋上に運ばれるにつれて消滅し、濃度が減少するためと考えられます。
 期間を通じて、北半球では大気中一酸化炭素濃度は緩やかに減少しており、南半球ではほぼ一定で推移しています。

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