静止気象衛星の運用

気象衛星は、気象観測を行うことが困難な海洋や砂漠・山岳地帯を含む広い地域の雲、水蒸気、海氷等の分布を一様に観測することが出来るため、 大気、海洋、雪氷等の全球的な監視に大変有効です。特に洋上の台風監視においてはとても有効な観測手段です。

世界気象機関(WMO)は、世界気象監視(WWW)計画の重要な柱の一つとして、複数の静止気象衛星と極軌道気象衛星からなる世界気象衛星観測網を提唱しています。 我が国は、昭和53 年以来、静止気象衛星を配置して運用し、その一翼を担ってきました。

ひまわり8号・9号もこれを継承し、我が国及び東アジア・西太平洋域内の各国における天気予報はもとより、 台風・集中豪雨、気候変動などの監視・予測、船舶や航空機の運航の安全確保に活躍します。

衛星管制

ひまわり8号・9号の衛星管制は、民間資金やノウハウを活用するPFI方式により、気象衛星ひまわり運用事業株式会社(略称:HOPE)により実施されています。

赤道上、約36,000kmの彼方にある「ひまわり」と地上とは常時電波で結ばれています。 「ひまわり」は、カメラ(イメージャ)で撮像した地球画像のほかに、多くの搭載機器の状態を表す情報(テレメトリ)を地球に送信しています。 HOPEでは、このテレメトリを受信及び解析し、「ひまわり」の動作に異常がないかを24時間監視しています。 そして、もし異常が発見された場合は、衛星に命令(コマンド)を送り、その回復を図っています。

HOPEの設備である主局および副局の設置場所は、両局が同時に自然災害や社会的災害などの影響を受けないようにするため、 主局アンテナサイトは埼玉県鳩山町と副局アンテナサイトは約800Km離れた北海道江別市にあり、主・副両局でテレメトリを受信しています。 通常主局から衛星に向けコマンドを送信していますが、衛星間の通信条件の変化や保守等により主局での運用ができない又はできなくなると推定される場合は副局に切替えて運用を継続します。

運用計画の作成

「ひまわり」は、定められた1日の運用計画に従って観測を行います。 たとえば1枚の地球画像を撮像する場合、その観測の開始時間と終了時間は、 この観測計画により定められています。

また、多くの運用計画があるため、「ひまわり」はほとんど休むことなく各種の動作を行っています。

観測の運用計画は衛星管制の運用計画と互いに支障外が生じないようにあらかじめ気象衛星センターとHOPE間で調整をして作成されます。 なお、必要がある場合は、この運用計画の隙間に別の運用計画を埋め込むこともあります。

春分や秋分の時期はイメージャが太陽を向かないようにするため、地球の一部が欠損することがあります。 また、「ひまわり」や関連機器の保守作業を実施するときには、地球画像を配信できないことがあります。

このような観測または配信の変更について、その計画をたてて利用者にお知らせすることも気象衛星センターの業務となります。

観測データの受信

HOPEと気象衛星センター間は、ネットワーク回線(WAN)で結ばれ、気象衛星センターは24時間絶え間なく送られてくる観測データの受信状況を監視しています。