気象衛星センター所長挨拶


1977年7月、宇宙からの気象観測、特に台風の監視を主な目的として、わが国初の静止気象衛星が打ち上げられました。 新たな衛星の打ち上げは見事成功し、宇宙に向かって花開けという願いをこめ、「ひまわり」と名づけられました。 以来40年以上、「ひまわり」は赤道上空約36,000kmの静止軌道上から地球を見つめ続け、いまや国民生活の安全安心のためにはなくてはならないものとなっています。 現在は「ひまわり9号」が、2022年12月に同型機の「ひまわり8号」から役割を引き継ぎ、高頻度・高分解能・多バンドの世界最先端の機能で、絶え間ない観測を続けています。

気象衛星センターは、「ひまわり」の打ち上げと同じく1977年に、気象庁の附属機関(1984年から施設等機関)として設置されました。 現在、当センターでは、「ひまわり」の観測計画の立案や運用を行うとともに、地球を周回する極軌道気象衛星の観測データを直接受信しています。 当センターでは、これらのデータを処理して雲の分布などの画像情報を作成するほか、上空の雲の動きから風を算出したり、海面水温の分布を算出しています。また、大雨や雷をもたらす積乱雲の把握、火山灰や黄砂の監視等にも「ひまわり」のデータは活用されています。これらの情報は、国内外の関係機関や事業者などを通じて広く提供されるとともに、天気予報をはじめ、防災気象情報の発表、気候変動の監視、さらには経済活動に直接役立つ有効な情報として幅広く活用されています。このように、「ひまわり」はわが国のみならず、アジア太平洋地域の気象・気候監視に欠くことのできない重要な存在となっています。

職員一同、気象衛星観測を安定して継続し、高品質な観測データの提供に努めることで社会に貢献してまいります。 これからもよろしくご指導、ご支援をお願い申し上げます。

令和6年4月  気象衛星センター所長 立川 英二