気象衛星の歴史

世界初の人口衛星であるスプートニクスが飛行してから3年後の1960年4月、最初の気象衛星TIROS-1が米国により打ち上げられました。 TIROSシリーズはその後6年間に10機が打ち上げられ、衛星による様々な観測実験が行われました。TIROSシリーズは低高度を周回する軌道衛星でしたが、 1966年には初めての静止気象衛星ATS-1が米国により打ち上げられ、天気変化の監視に衛星観測が有効であることが確かめられました。

気象衛星観測の成功は、この新技術を利用し、気象学の発展や天気予報の改善を目指そうという気運を高め、 1963年には世界気象機関(WMO)によりWWW(World Weather Watch:世界気象監視計画)が立案され、全世界をカバーする気象衛星観測ネットワーク構想がスタートしました。 この構想を受け各国では気象衛星を打ち上げ、1980年代初めまでに5機の静止気象衛星と2機の極軌道衛星(NOAA,METORシリーズ)により地球全休を隈なく覆う観測網が確立されました。

日本で初めての静止気象衛星は1977年に米国ケネディ宇宙センターから打上げに成功し、愛称を「ひまわり」と命名されました(ひまわり:GMSシリーズ)。 GMSは5号まで運用されています。運輸多目的衛星(Multi-functional Transport Satellite:MTSAT)は、 航空管制としての機能(航空ミッション)と気象観測の機能(気象ミッション)の二つの機能を持つ静止衛星です。 運輸多目的衛星新1号(ひまわり6号)、運輸多目的衛星新2号(ひまわり7号)は2015年まで運用しました。 現在は、世界最先端の観測機能を有する「ひまわり8号・9号」の2機体制を確立し、2029年までの間、安定的かつ持続的な気象衛星観測を実施しています。

GMS シリーズ (Geostationary Meteorological Satellite)
NASDA(現JAXA)と共同開発

ひまわり
(GMS)
ひまわり1号
1978年
ひまわり2号
(GMS-2)
ひまわり2号
1981年
ひまわり3号
(GMS-3)
ひまわり3号
1984年
ひまわり4号
(GMS-4)
ひまわり4号
1989年
ひまわり5号
(GMS-5)
ひまわり5号
1995年

MTSAT シリーズ (Multi-functional Transport Satellite)
運輸多目的衛星 航空管制機能(国交省)と相乗り

ひまわり6号
(MTSAT-1R)
ひまわり1号
2005年
ひまわり7号
(MTSAT-2)
ひまわり2号
2010年

2003年5月~2005年6月の間、米国海洋大気庁所有の静止気象衛星GOES-9を借用し、パシフィックゴーズの名称で運用

ひまわり8号・9号

ひまわり8号・9号
ひまわり1号
2015年~

ひまわり8号・9号は最先端の観測技術を有する放射計(AHI)を搭載し、米国や欧州などの他の新世代静止気象衛星に先駆けて運用開始