画像特性(バンド15)

バンド15は、12.4μmに中心波長を持ち、赤外窓領域の長波長域に対応します。MTSATに搭載された従来からの赤外(赤外2)画像とバンド15画像は性質が近いため(Murata et al., 2015)、従来の赤外2衛星画像の後継として利用されています。図2にバンド15とMTSAT-2の赤外2(IR2:12.0μm)の応答関数を示します。応答関数が重なっていますが、細かく見るとバンド15のほうがやや長波長側にあります。大気中の水蒸気による透過率を見ると(図1)、バンド13に比べてバンド15の中心波長付近は透過率が低いことがわかります。

水滴・氷晶に対する吸収の影響については(図3)、他の窓領域に比べてバンド15は氷晶と水滴の影響が大きく、それぞれの差異も大きくなります。また、火山灰や黄砂などに含まれるケイ素に対しても特徴があり、ケイ素の射出エネルギー(赤外放射エネルギー)はバンド13よりバンド15の方が大きくなります。 以上のようなバンド15の性質はバンド13との差分画像を用いると明瞭となり利用しやすいです。

図1 赤外バンド波長(波数)帯における大気中の気体分子による吸収特性。縦軸は透過率、横軸は波数、赤線と最上段の赤字はひまわり 8 号の観測バンドを示す(Clerbaux et al., 2011 に一部追記)。
図2 バンド15とひまわり7号のIR2(12.0μm)バンドの応答関数(縦軸:相対応答、横軸:波長)(NASASpectral ResponseFunctionDatabaseより作成://cloudsgate2.larc.nasa.gov/cgi-bin/site/showdoc?mnemonic=SPECTRAL-RESPONSE)。
図3 赤外域の各観測波長帯(緑色の波長帯)における水滴・氷晶それぞれの吸収に関わる複素屈折率虚部(消衰係数)(縦軸:消衰係数、横軸:波長)(HaleandQuerry,1973(water)およびWarren,1984(ice)より作成)。