バンド12差分画像

バンド12画像では、水蒸気画像の暗域のある領域に、白色の筋(Whitestripes)が見られることがあります(Zwatz-Meise,2004)。画像例(図1、図2)を示すと、水蒸気画像であるバンド8画像で上層トラフ付近の暗域が見られるところに、バンド12画像では暗域に沿う形状で不明瞭な白い帯状の領域が見られます。

赤外窓領域のバンド13との差分画像では黒い帯状の領域が見られ、バンド12では輝度温度が低くなっている領域に対応します。これは高濃度のオゾン領域に対応していると考えられ、画像とGSM(全球モデル:地球全体の大気を対象とした気象庁の数値予報モデル)の300hPaにおける渦度の表示を重ね合わせると、おおよそ正の渦度域と対応していることがわかります。

そのほか上層風の収束域など、対流圏界面付近の大気に関わるパラメータと白い帯状の領域との相関が見られることから、圏界面が低い領域にある高オゾン領域が可視化されていると推測できます。米国NOAA等の調査では、衛星データから算出した「オゾン量の勾配が大きな領域」で、調査用航空機により乱気流が観測されています(LiJ.etal.,2001)。今後、バンド12のデータを用いたオゾンプロダクトによる調査が期待されています。

図1 左:バンド8(水蒸気)画像, 右:バンド12画像
図2 左:バンド13と12の差分画像, 右:バンド12にGSM(全球モデル:地球全体の大気を対象とした気象庁の数値予報モデル)の300hPa渦度を重ね合わせて表示、コンターのない領域が正の渦度域に対応。