日本の天候に影響を及ぼすメカニズム

エルニーニョ現象が日本の天候へ影響を及ぼすメカニズム

 エルニーニョ現象が発生すると、西太平洋熱帯域の海面水温が低下し、西太平洋熱帯域で積乱雲の活動が不活発となります。このため日本付近では、夏季は太平洋高気圧の張り出しが弱くなり、気温が低く、日照時間が少なくなる傾向があります。また、西日本日本海側では降水量が多くなる傾向があります。冬季は西高東低の気圧配置が弱まり、気温が高くなる傾向があります。

図1 エルニーニョ現象が日本の天候への影響を及ぼすメカニズム
図1 エルニーニョ現象が日本の天候へ影響を及ぼすメカニズム

ラニーニャ現象が日本の天候へ影響を及ぼすメカニズム

 ラニーニャ現象が発生すると、西太平洋熱帯域の海面水温が上昇し、西太平洋熱帯域で積乱雲の活動が活発となります。このため日本付近では、夏季は太平洋高気圧が北に張り出しやすくなり、気温が高くなる傾向があります。沖縄・奄美では南から湿った気流の影響を受けやすくなり、降水量が多くなる傾向があります。冬季は西高東低の気圧配置が強まり、気温が低くなる傾向があります。

図2 ラニーニャ現象が日本の天候への影響を及ぼすメカニズム
図2 ラニーニャ現象が日本の天候へ影響を及ぼすメカニズム

インド洋熱帯域の海洋変動が日本の天候へ影響を及ぼすメカニズム

 夏季にインド洋熱帯域で海面水温が高いと、インド洋全域で海面気圧が低めになり、赤道に沿って西太平洋まで低気圧場が伸張してくる傾向が見られます。このときフィリピンのミンダナオ島東方では、低気圧場に向かって吹く北東風偏差が発生、フィリピン付近を中心に下降流となり、積乱雲の活動が不活発になります。日本付近では太平洋高気圧の北への張り出しが弱くなり、北日本を中心に多雨・寡照となる傾向があり、沖縄・奄美では高温となる傾向が見られます。
 インド洋熱帯域の海面水温は、エルニーニョ/ラニーニャ現象が発生すると、エルニーニョ監視海域の海面水温の変動に遅れて変動する傾向があります。このことから、エルニーニョ現象終息後の夏季に、北日本を中心に多雨・寡照、沖縄・奄美で高温となることがあります。また、ラニーニャ現象終了後の夏季に、その逆の傾向が現れますが、インド洋の海面水温が高い場合ほど顕著ではありません。

図3 インド洋熱帯域の海洋変動の日本の天候への影響
図3 インド洋熱帯域の海洋変動の日本の天候への影響

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