GAW計画などを通じた国際協力
気象庁は、GAW計画の中で、温室効果ガス世界資料センター、品質保証科学センター、全球大気監視較正センターの三つの国際的なセンターとしての役割を担っているほか、WMO第Ⅱ地区放射センターとしてアジア地区内の日射計の較正などを行っています。
温室効果ガス世界資料センター(WDCGG)
WMOは、温室効果ガスやオゾン・エーロゾルなどの観測データを収集・公開するため、世界資料センターを設置しています。この中で、「WMO温室効果ガス世界資料センター(WDCGG)」を気象庁が運営しています。WDCGGでは、世界中の温室効果ガスと関連するガスの観測データを一元的に収集・管理・解析し、インターネットを通じて世界各国の利用者に提供しています。
WDCGGへのデータ報告地点
品質保証科学センター(QA/SAC)
WMOは、温室効果ガスなどの観測データの品質を向上させるため、日本・米国・ドイツ・スイスに品質保証科学センター(QA/SAC)を設置しています。気象庁が運営している日本のQA/SACでは、アジア・南西太平洋地区の観測データの品質評価、観測所などへの技術協力、観測データの品質評価手法の調査など様々な活動を行っています。
中国瓦里関山全球大気観測所での技術協力
キルギス専門家を招聘しての共同研究
全球大気監視較正センター
WMOは、世界的に均質で精度の高い温室効果ガスなどの観測データを得るため、観測基準となる標準ガス又は機器(準器)を定めています。この中で気象庁は、アジア・南西太平洋地区のメタン及びアジア地区のドブソンオゾン分光光度計によるオゾン全量の観測基準を維持する全球大気監視較正センターを運営しています。メタンについては参照ガスの巡回比較、オゾン全量については相互比較観測を実施し、地区内の観測精度維持に貢献しています。
気象庁(東京)に設置されているメタン標準ガス較正装置
ドブソンオゾン分光光度計の国際比較(つくば)
WMO第II地区放射センター
WMOは、世界的に均質で精度の高い日射観測データを得る目的で、日射計の較正体系を確立しています。較正の基準は世界放射センターが1971年以来維持している6台の絶対放射計群(世界準器群)による世界放射基準(WRR:World Radiometric Reference)です。
一方、気象庁は1965年第Ⅱ地区(アジア)協会会議においてインドとともにアジアの地区放射センターに指名されています。これを受けて以後気象庁は地区内日射計の相互比較を実施し、地区内日射計の精度維持に貢献しています。さらに、そのために必要な地区準器群を維持管理しています。
アジア地区日射計比較観測(2012年、筑波山)