オゾン全量観測に関する較正

ブリューワー分光光度計の較正

国際相互比較

 ブリューワー分光光度計によるオゾン全量観測は、カナダ環境・気候変動省(ECCC)が保有するWMOの世界基準器群に基づいて較正することが求められています。 ECCCの世界基準器群の較正は、ハワイ・マウナロア観測所における絶対検定により数年毎に行われています。 気象庁は、国内のオゾン全量観測の精度維持のため、定期的に国内準器と世界基準器群との相互比較を実施しています。 表1は、これまでの相互比較観測の履歴です。最近の相互比較観測は、2018年にカナダ・トロントで実施しています。

表1 国内準器のブリューワー分光光度計の国際相互比較の履歴

実施年実施場所
1994米国・ボールダー
1997カナダ・トロント
2002カナダ・トロント
2006カナダ・トロント
2010カナダ・トロント
2014カナダ・トロント
2018カナダ・トロント

国内比較観測

 国内(つくば)のブリューワー分光光度計については、ほぼ2年に一度、国内準器との比較観測による較正を実施し、 観測精度の維持を図っています。比較観測以外にも、毎日、水銀ランプ点検などの点検を自動的に行うとともに、 外部標準ランプ(タングステン-ハロゲンランプ)を用いた点検を定期的に実施し、測器の感度変化を確認しています。


昭和基地で使用する測器の較正

 南極昭和基地のブリューワー分光光度計については、高層気象台の国内準器で比較較正を行った測器を通常3年ごとに持ち込み観測に使用しています。3年以上継続して同一測器で観測を行う場合には、高層気象台で比較較正された測器を昭和基地に持ち込み、観測に使用している測器との比較観測を実施することにより、精度の維持を行っています。また、国内観測所と同様な点検作業を行っています。


ドブソン分光光度計の較正

国際相互比較

 気象庁はアジア地区のドブソン分光光度計によるオゾン全量観測について、WMOの較正センター業務を行っています。 そのため高層気象台(つくば)においてドブソン分光光度計のアジア地区の地区準器を所有し、その維持・管理を行っています。
 この地区準器は、アジア地区のオゾン観測網の観測データの精度維持のためほぼ3年に一度 米国海洋大気庁(NOAA)が保有しているWMOの世界準器と比較観測を実施しています。 世界準器自身の較正はハワイ・マウナロア観測所においてラングレー法を用いた絶対検定により行われています。
 表2は、地区準器と世界準器との相互比較観測の履歴です。 最近の相互比較観測は、2017年にオーストラリア・メルボルンで実施しました。 その際の地区準器の観測精度は、オゾン全量値で世界準器との差は平均して0.4%であり、 前回の国際比較以後の観測データについては、補正処理なしで使用できることが確認されました。

表2 アジア地区準器のドブソン分光光度計の国際相互比較の履歴

実施年 実施場所
1977米国・ボールダー
1984オーストラリア・メルボルン
1989米国・マウナロア
1992米国・ボールダー
1995スイス・アローザ
1998米国・ボールダー
2001米国・マウナロア
2004米国・ボールダー
2007米国・ボールダー
2010米国・マウナロア
2013米国・ボールダー
2017オーストラリア・メルボルン

昭和基地で使用する測器の較正

 高層気象台のアジア地区準器で比較較正を行った測器を、通常3年ごとに南極の昭和基地に持ち込んで観測に使用しています。 3年以上継続して同一測器で観測を行う場合には、高層気象台で比較較正を行った測器を昭和基地に持ち込み、 観測に使用している測器との比較観測を実施することにより、精度の維持を図っています。

各種ランプ点検

 各観測所では測器の精度維持のため定期的に下記の各種ランプ点検を実施しています。

(1)標準ランプ点検
標準ランプ点検は週1回実施し、測器の較正基準を一定に保つためのオゾン全量の補正値を決定しています。
(2)水銀ランプ波長点検
水銀ランプ波長点検は月1回実施し、測器の測定波長の状態を確認しています。
(3)2ランプ点検
2ランプ点検は各波長組について年3回程度実施し、2波長の強度比を調整する光学くさびの濃度勾配が適正に保たれているか否かを確認しています。

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