2024年8月の天候

2024年9月2日 掲載

2024年9月17日 概況に気温に関する記録を追記、その他の事項に台風を追記

2024年8月の特徴

* 気温は、全国的にかなり高かった

気温は、暖かい空気に覆われやすく、北日本を中心に暖かい空気が流れ込みやすかったため、全国的にかなり高かった。西日本では、1946年の統計開始以降、8月として1位の高温となった。

* 降水量は、東日本太平洋側でかなり多かった

降水量は、台風第10号や湿った空気などの影響を受けやすかった東日本太平洋側でかなり多く、1946年の統計開始以降、8月として1位の多雨となった。

* 日照時間は、西日本日本海側でかなり多かった

日照時間は、下旬の中頃まで高気圧に覆われやすかった西日本日本海側でかなり多かった。

概況

北日本では低気圧や前線に向かって暖かい空気が流れ込みやすく、東・西日本と沖縄・奄美では西日本を中心に太平洋高気圧の影響で暖かい空気に覆われるとともに晴れて日射が強い日があった。このため、各地で記録的な高温となった日があり、月平均気温は全国的にかなり高かった。特に、西日本では、月平均気温平年差が+1.8℃となり、1946年の統計開始以降、8月として1位の高温となった。また、地球温暖化等の長期的な気候変動の監視に用いる15地点の観測値による日本の月平均気温(*)の基準値からの偏差は+1.84℃で、統計を開始した1898年以降の8月として2023年に次いで2位となった。

北日本では、低気圧や前線の影響を受けやすかったことに加え、中旬の台風第5号や湿った空気の影響もあって曇りや雨の日が多く、北日本日本海側と北日本太平洋側では月間日照時間が少なかった。また、27日に岩手県で線状降水帯が発生するなど記録的な大雨となった所もあり、月降水量は北日本太平洋側で多かった。東・西日本では、西日本を中心に太平洋高気圧に覆われて晴れた日が多く、月間日照時間は西日本日本海側でかなり多く、西日本太平洋側で多かった。また、月降水量は東日本日本海側で少なかった。一方、中旬の台風第7号の影響で大雨や荒れた天気となった所があったほか、日本の南海上で発生した熱帯低気圧の影響で暖かく湿った空気が流れ込みやすい時期もあった。下旬の後半は台風第10号が西日本から東海道沖に進んだ影響で、大荒れとなった所があったほか、各地で線状降水帯が発生して記録的な大雨となった。このため、月降水量は東日本太平洋側でかなり多く、西日本太平洋側で多かった。東日本太平洋側の月降水量平年比は238%で、1946年の統計開始以降、8月として1位の多雨となった。沖縄・奄美では、中旬に台風第9号、下旬に台風第10号や熱帯低気圧の影響を受けたものの、上旬を中心に太平洋高気圧に覆われて晴れた日が多く、月降水量は少なかった。

(*)都市化による影響が比較的小さく、長期間の観測が行われている地点から、地域的に偏りなく分布するように選定した15地点(網走、根室、寿都、山形、石巻、伏木、飯田、銚子、境、浜田、彦根、宮崎、多度津、名瀬、石垣島)の気象台等の観測値を用いた統計。

平均気温は、北日本、東日本、西日本、沖縄・奄美ではかなり高かった。

降水量は、東日本太平洋側ではかなり多かった。北日本太平洋側、西日本太平洋側では多かった。東日本日本海側、沖縄・奄美では少なかった。北日本日本海側、西日本日本海側では平年並だった。

日照時間は、西日本日本海側ではかなり多かった。西日本太平洋側では多かった。北日本日本海側、北日本太平洋側では少なかった。東日本日本海側、東日本太平洋側、沖縄・奄美では平年並だった。

気温、降水量、日照時間等の気候統計値

平均気温平年差、降水量平年比、日照時間平年比の分布 地域平均平年差、地域平均平年比の1位の値の更新状況
(図表)気温平年差、降水量平年比、日照時間平年比の分布

* 平均気温の高い記録を更新した地域

西日本、四国地方、九州北部地方、九州南部・奄美地方、九州南部

東海地方(タイ)

* 平均気温の低い記録を更新した地域

なし

* 降水量の多い記録を更新した地域

東日本太平洋側、東海地方

* 降水量の少ない記録を更新した地域

なし

* 日照時間の多い記録を更新した地域

なし

* 日照時間の少ない記録を更新した地域

なし

旬降水量の地域平均平年比、旬間日照時間の地域平均平年比の経過 平均気温の地域平均平年差の経過(5日移動平均)
(図表)旬降水量の地域平均平年比、旬間日照時間の地域平均平年比の経過
この図は翌月はじめに作成したものです。数日後により新しいデータを反映して図を作成していますので、引用等する場合は可能な限りこちらに掲載の図をご利用ください。(※1
(図表)気温の地域平均平年差の経過(5日移動平均) この図は翌月はじめに作成したものです。数日後により新しいデータを反映して図を作成していますので、引用等する場合は可能な限りこちらに掲載の図をご利用ください。(※1

旬別の天候経過

上旬

北海道地方では低気圧や前線の影響を受けやすく、曇りや雨の日が多かった。一方、東北地方から沖縄・奄美にかけては太平洋高気圧に覆われて晴れた日が多く、東北南部では1日頃に、東北北部では2日頃に梅雨明けした。このため、旬降水量は北・東・西日本日本海側、北・西日本太平洋側、沖縄・奄美で少なかった。また、旬間日照時間は西日本日本海側、西日本太平洋側、沖縄・奄美でかなり多く、東日本太平洋側で多かった一方、北日本日本海側で少なかった。気温は、暖かい空気に覆われやすかったことに加え、晴れて強い日射の影響を受けたことにより、9日は三重県の桑名で日最高気温40.4℃を観測するなど、各地で記録的な高温となった。このため、旬平均気温は東・西日本と沖縄・奄美でかなり高く、北日本で高かった。特に、西日本では旬平均気温平年差が+2.0℃となり、1946年の統計開始以降、8月上旬として1位の高温となった。

旬平均気温は、東日本、西日本、沖縄・奄美ではかなり高かった。北日本では高かった。

旬降水量は、北日本日本海側、北日本太平洋側、東日本日本海側、西日本日本海側、西日本太平洋側、沖縄・奄美では少なかった。東日本太平洋側では平年並だった。

旬間日照時間は、西日本日本海側、西日本太平洋側、沖縄・奄美ではかなり多かった。東日本太平洋側では多かった。北日本日本海側では少なかった。北日本太平洋側、東日本日本海側では平年並だった。

中旬

西日本や東日本太平洋側を中心に太平洋高気圧に覆われて晴れた日が多かったが、沖縄・奄美では期間の後半を中心に湿った空気や台風第9号などの影響を受けやすく曇りや雨の日が多かった。12日は台風第5号が岩手県に上陸し日本海へ進み、北日本太平洋側を中心に大雨や荒れた天気となった所があったほか、16日は台風第7号が接近した関東地方で大雨や荒れた天気となった所があった。また、西日本太平洋側を中心に期間の終わりに湿った空気が流れ込んだため、大雨となった所があった。これらのことから、旬降水量は、北・西日本太平洋側、沖縄・奄美で多かった一方、北・東・西日本日本海側で少なかった。また、旬間日照時間は、東・西日本太平洋側と西日本日本海側で多かった一方、沖縄・奄美で少なかった。旬平均気温は、全国的に暖かい空気に覆われやすかったことや晴れて強い日射の影響で気温が上昇したこともあり、東・西日本でかなり高く、北日本と沖縄・奄美で高かった。岐阜県の美濃では16日に40.0℃を記録するなど、東・西日本を中心に猛暑日となった所があった。

旬平均気温は、東日本、西日本ではかなり高かった。北日本、沖縄・奄美では高かった。

旬降水量は、北日本太平洋側、西日本太平洋側、沖縄・奄美では多かった。北日本日本海側、東日本日本海側、西日本日本海側では少なかった。東日本太平洋側では平年並だった。

旬間日照時間は、東日本太平洋側、西日本日本海側、西日本太平洋側では多かった。沖縄・奄美では少なかった。北日本日本海側、北日本太平洋側、東日本日本海側では平年並だった。

下旬

北日本では、低気圧や湿った空気の影響を受けやすく、曇りや雨の日が多かった。東・西日本では、期間の前半は太平洋高気圧に覆われて晴れた日が多く、旬降水量は東日本日本海側で少なかったが、期間の後半は台風第10号が29日に鹿児島県に上陸し、31日にかけて西日本から東海道沖に進んだため、大荒れとなった所があった。また、台風周辺や太平洋高気圧の縁を回る暖かく湿った空気の影響で、西日本を中心に線状降水帯が発生し、各地で記録的な大雨となった。静岡県の網代では72時間降水量が1976年の統計開始以降で最も多い608.0mmを記録した。沖縄・奄美では、高気圧に覆われて晴れた日もあったが、台風第10号に加えて熱帯低気圧が接近したため、曇りや雨の日があった。これらのことから、旬降水量は、東・西日本太平洋側と西日本日本海側でかなり多く、北日本日本海側と北日本太平洋側で多かった。東日本太平洋側の旬降水量は平年比422%で、1946年の統計開始以降、8月下旬として1位の多雨となった。また、旬間日照時間は、北・東日本太平洋側で少なかった。旬平均気温は、暖かい空気が流れ込みやすかったことや西日本を中心に太平洋高気圧に覆われて強い日射で猛暑日になった所が多かったため、北・西日本と沖縄・奄美でかなり高く、東日本で高かった。

旬平均気温は、北日本、西日本、沖縄・奄美ではかなり高かった。東日本では高かった。

旬降水量は、東日本太平洋側、西日本日本海側、西日本太平洋側ではかなり多かった。北日本日本海側、北日本太平洋側では多かった。東日本日本海側では少なかった。沖縄・奄美では平年並だった。

旬間日照時間は、北日本太平洋側、東日本太平洋側では少なかった。北日本日本海側、東日本日本海側、西日本日本海側、西日本太平洋側、沖縄・奄美では平年並だった。

※ 下旬の循環場の図は翌月数日経ってから掲載します。掲載までお待ちください。

循環場

500hPa高度場等の特徴

500hPa高度では、千島の東を中心に広い範囲で平年より高く、日本海では気圧の尾根となった。亜熱帯ジェット気流は平年の位置より北側を流れやすく、日本付近は暖かい空気に覆われやすかった。一方、日本の南東では高度が平年より低い所があった。海面気圧では、日本の南を中心に平年より低かった。このため、西日本を中心に太平洋高気圧に覆われた一方、日本の南で発生した台風や熱帯低気圧などの影響で、暖かく湿った空気が流れ込みやすい時期があった。

月別値で作成した図を表示しています。 (※2、翌月はじめに暫定版として作成・掲載している日別値の図はこちら 翌月はじめに暫定的に日別値で作成した図で、月末までのデータを含まない事があります。6日頃に月別値で作成した図を掲載します。(月別値の図は掲載後にこちらで確認できます)
2024年8月平均500hPa高度・偏差の分布(単位:m) 2024年8月平均850hPa気温・偏差の分布(単位:℃)
2024年8月平均海面気圧・偏差の分布(単位:hPa) 2024年8月平均外向き長波放射量の偏差の分布(単位:W/m2
外向き長波放射量(OLR)の図は翌月数日経ってから作成しています。
※ 米国海洋大気庁(NOAA)が作成する外向き長波放射量(OLR)のデータが欠損により利用できない場合には、OLR偏差図は描画されません。

資料

その他の事項(記録など)

台風の発生(速報値、日本時間):第5号(8日)、第6号(11日)、第7号(13日)、第8号(13日)、第9号(19日)、第10号(22日)

台風の接近(速報値):

第5号(伊豆諸島・小笠原諸島、関東地方・甲信地方、北陸地方、東北地方、北海道地方)

第7号(東海地方、関東地方・甲信地方、伊豆諸島・小笠原諸島、東北地方)

第9号(沖縄地方、奄美地方)

第10号(沖縄地方、奄美地方、九州南部、九州北部地方、四国地方、中国地方、近畿地方、東海地方、関東地方・甲信地方、伊豆諸島・小笠原諸島、北陸地方)

台風の上陸(速報値、日本時間):第5号(岩手県大船渡市付近:12日)、第10号(鹿児島県薩摩川内市付近:29日)





: 特に作成日の言及がない図は、本資料を掲載した月初時点に作成したものです。

※1 : リンク先の図表類は、平年値更新時などに再作成されることがあります。リンク先にある平年値期間などの記述をご確認ください。

※2 : こちらに掲載しているものと同じ図を表示しています。平年値が変わった場合などには図を再作成することがあるため、解説内容と齟齬が生じることもあります。

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