温室効果ガス等の観測に関わる較正

温室効果ガス観測におけるスケール(ものさし)

大気中の微量の温室効果ガス等の濃度を観測する場合、分析装置を用いて、濃度が既知の「標準ガス」と大気を相対的に比較することにより、大気中の濃度を精密に決定します(図1)。
気象庁の観測地点で得られたデータを、世界中の他の観測データと相互に比較可能なものとするためには、観測の基準となる標準ガス(地上オゾンの場合は濃度計)が同じスケール(ものさし)で統一されている必要があります。  気象庁では、観測で使用する標準ガス及び濃度計を世界的な基準スケールにあわせるために、「較正」と呼ばれる作業を行っています。

標準ガスによる観測の概念

図1 標準ガスによる観測の概念

較正とは

時間的及び空間的な違いを持った観測値を相互に比較できるようにするためには、測定の尺度であるスケールを一元化して基準に定め、その基準に従ってそれぞれの観測を行う必要があります。この相互のスケールの関係が定まっていることを「トレーサビリティ」という言葉で表現します。
観測における「トレーサビリティ」を保証するためには、個々の観測で用いているスケールに対し、「較正」という作業が必要となります。ここでの較正とは、観測を行う際に予めある基準と比較を行い、その結果に観測のスケールを合わせることを意味しています。
地球規模の観測により環境の変動を正確に検出するためには、この較正作業が必要不可欠です。気象庁では、温室効果ガス等の観測地点で使用する観測用標準ガスと濃度計を、世界気象機関(WMO)によって定められた世界的な基準であるWMOスケールにあわせる較正業務を実施しています(図2)。

気象庁の較正体系(二酸化炭素標準ガスの場合)

図2 気象庁の較正体系(二酸化炭素標準ガスの場合)


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