WMO全球大気監視(GAW)計画
世界気象機関(WMO:World Meteorological Organization)は、1989年に「全球大気監視」(GAW:Global Atmosphere Watch)計画を開始しました。これは、地球温暖化、オゾン層破壊、酸性雨などの地球環境問題に対する世界的な関心の高まりを背景にして、すでに設立されていた2つの観測網「全球オゾン観測システム」(GO3OS:Global Ozone Observing System、1950年代に設立)と「大気バックグランド汚染観測網」(BAPMoN:Background Air Pollution Monitoring Network、1960年代に設立)を統合し発展させたものです。
GAWは、地球規模の環境の長期的な監視及びその結果の提供を通じて、社会に与える環境上のリスク低減、気候・気象・大気環境に関する予測能力の向上及び環境政策の支援に関する科学的アセスメントに寄与することを目的としています。
GAW計画の下で観測を行う項目は、オゾン、紫外線、温室効果ガス、反応性ガス、降水化学成分、エーロゾルなどです。さらに、気温、風などの気象要素も観測項目に含まれています。GAW計画を実施するため、世界各地で観測を行う観測所のほか、観測データを収集・提供する世界資料センターや観測所におけるデータ品質保証活動の支援などを行う品質保証科学センターなどの国際センターや観測網の拡充に関する勧告や観測の精度・手法に関するガイドラインの作成などの活動を行う科学諮問部会などが設立されています。
GAW構成図
このようにしてGAW計画の下で得られた情報は、GAW世界資料センターなどを通じて、関係する国際機関・各国政府機関や研究機関をはじめとして広く提供され、環境に関する政策決定や地球環境問題に関する科学的な理解を深めるために役立っています。
観測項目 | 資料センター名 | 運営機関 |
---|---|---|
オゾン・紫外線 | 世界オゾン・紫外線資料センター(WOUDC) | カナダ気象局 |
温室効果ガス | 温室効果ガス世界資料センター(WDCGG) | 気象庁(日本) |
降水化学成分 | 降水化学世界資料センター(WDCPC) | 米国海洋大気庁大気資源研究所 |
太陽放射 | 世界放射資料センター(WRDC) | ロシア中央地球物理観測所 |
エーロゾル | エーロゾル世界資料センター(WDCA) | ノルウェー大気研究所 |
リモートセンシング | 大気リモートセンシング世界資料センター(WDC-RSAT) | ドイツ航空宇宙研究センター |
反応性ガス | 反応性ガス世界資料センター(WDCRG) | ノルウェー大気研究所 |