ひまわり黄砂監視画像の見方

気象庁ホームページのひまわり黄砂監視画像のページには「トゥルーカラー再現画像」と「ダスト画像」があります。このページでは、ひまわり黄砂監視画像についての説明と、ひまわり黄砂監視画像による黄砂の見え方について説明します。

ひまわり黄砂監視画像についての説明

トゥルーカラー再現画像

トゥルーカラー再現画像は、ひまわり8号・9号の可視3バンド(バンド1、2、3)、近赤外1バンド(バンド4)及び赤外1バンド(バンド13)を利用し、人間の目で見たような色を再現した衛星画像です。本画像は、衛星によって観測された画像を人間の目で見たように再現する手法(参考文献[1])によって作成されています。この色の再現過程において緑色を調節するために、Millerらによる手法(参考文献[2])の応用として、バンド2、3、4が使用されています。また、画像をより鮮明にするために、大気分子により太陽光が散乱される影響を除去するための手法(レイリー散乱補正)(参考文献[2])が利用されています。
トゥルーカラー再現画像を利用する際にはトゥルーカラー再現画像の利用についてのページをご確認ください。

謝辞

トゥルーカラー再現画像は、気象庁気象衛星センターと米国海洋大気庁衛星部門GOES-Rアルゴリズムワーキンググループ画像チーム(NOAA/NESDIS/STAR GOES-R Algorithm Working Group imagery team)との協力により開発されました。また、レイリー散乱補正のためのソフトウェアは、NOAA/NESDISとコロラド州立大学との共同研究施設(Cooperative Institute for Research in the Atmosphere: CIRA)から気象庁気象衛星センターに提供されました。関係機関に感謝いたします。

参考文献

[1] Murata, H., K. Saitoh, Y. Sumida, 2018: True color imagery rendering for Himawari-8 with a color reproduction approach based on the CIE XYZ color system. J. Meteor. Soc. Japan., doi: 10.2151/jmsj.2018-049.
[2] Miller, S., T. Schmit, C. Seaman, D. Lindsey, M. Gunshor, R. Kohrs, Y. Sumida, and D. Hillger, 2016: A Sight for Sore Eyes - The Return of True Color to Geostationary Satellites. Bull. Amer. Meteor. Soc., doi: 10.1175/BAMS-D-15-00154.1

ダスト画像

ダスト画像は、黄砂や火山灰等の砂じん(砂やちり)の認識に用いられ、昼夜を通して24時間利用することができます。黄砂や火山灰はマゼンタ色(赤紫色)に表示されます。ただし、黄砂領域が雲によって隠されてしまうことによって、黄砂を判別できないこともあります。

ひまわり黄砂監視画像による黄砂の見え方

2018年3月28日から29日にかけて北日本に大陸から黄砂が飛来しました。

ダスト画像では、黄砂領域がマゼンタ色(赤紫色)で表現され、昼夜を通して24時間黄砂領域を監視することができます。
黄砂が日本に飛来する前日の3月27日21時のダスト画像は、白破線領域に示すように夜間でも中国東方区にマゼンタ色(赤紫色)の黄砂領域を表示しており、特にマゼンタ色(赤紫色)の濃い領域が大陸での黄砂の観測(3月27日黄砂観測実況図の赤破線領域)と対応していることが見てとれます。
また、3月28日15時のダスト画像では、大陸(黄河下流域)から朝鮮半島、日本海、北日本にかけて白破線内の黄砂領域に対応したマゼンタ色(赤紫色)の領域が広がっています。

2018年3月27日の黄砂観測実況図
2018年3月27日の黄砂観測実況図
2018年3月27日21時のダスト画像
2018年3月27日21時のダスト画像
2018年3月28日15時のダスト画像
2018年3月28日15時のダスト画像

3月28日のトゥルーカラー再現画像では、赤破線内の地上気象観測の結果やダスト画像での白破線内のマゼンタ色(赤紫色)の黄砂領域に対応して、大陸(黄河下流域)から日本海、北日本にかけて帯状に茶色の黄砂領域を知ることができます。また3月29日には、黄砂領域が南下しているのを知ることができます。
なお、ひまわり黄砂監視画像ページでのトゥルーカラー再現画像は、夜間の時間帯は衛星赤外画像を表示します。衛星赤外画像では黄砂領域は映りませんが、雲の移動を追跡することができるため、日中のトゥルーカラー再現画像を組み合わせることで黄砂領域の推定が可能です。

2018年3月28日の黄砂観測実況図
2018年3月28日の黄砂観測実況図
2018年3月28日15時のトゥルーカラー再現画像
2018年3月28日15時のトゥルーカラー再現画像
2018年3月29日9時のトゥルーカラー再現画像
2018年3月29日9時のトゥルーカラー再現画像

この時のトゥルーカラー再現画像の動画は観測画像の紹介(黄砂・砂じん)日本に飛来する黄砂(3月28日から29日)をご覧ください。

トゥルーカラー再現画像での黄砂以外の事例

トゥルーカラー再現画像は、黄砂以外の現象についても監視・追跡をすることが可能です。

森林火災の煙

2018年4月下旬、ロシア東部で発生した森林火災が北海道周辺まで到達しました。4月27日のトゥルーカラー再現画像では、日本海から北海道に流れる森林火災の煙を見ることができます。
この時のトゥルーカラー再現画像の動画は観測画像の紹介(黄砂・砂じん)森林火災による煙をご覧ください。

風じん

2019年5月20日は、北海道付近で気圧の傾きが大きくなったため、網走地方では強い南風を観測しました。この時に吹いた風によって起こった風じんを見ることができます。
この時のトゥルーカラー再現画像の動画は観測画像の紹介(黄砂・砂じん)北海道の風じんをご覧ください。

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