オゾン層保護の取り組みとオゾン層の今後の見通し

 工業活動などにより人間が排出したフロン等は成層圏で分解され、オゾン層を破壊します。オゾン層を保護するため、1985年に「ウィーン条約」、1987年に「モントリオール議定書」が採択され、フロン等のオゾン層破壊物質の生産や消費が世界的に規制されています。国内では1988年に施行された「オゾン層保護法」によりその規制が実施され、また2001年に公布された「フロン回収・破壊法」により、エアコン、冷蔵庫等で既に使用されているフロン等についても回収・破壊が義務付けられています。
 これらの規制の効果により、成層圏のオゾン層破壊物質の総量は、1990年代半ばのピーク時の値から減少しており、オゾン層の回復は進んでいます。 世界気象機関(WMO)と国連環境計画(UNEP)がとりまとめた「オゾン層破壊の科学アセスメント:2022」総括要旨では、オゾン層が1980年(オゾン破壊が顕著になる前の指標となる年)の量に回復するのは、南極では2066年頃、北極では2045年頃、高緯度を除く全球の平均(北緯60度~南緯60度)では2040年頃と予測されています。

オゾン層破壊物質とオゾン全量の変化予測

図 オゾン層破壊物質とオゾン全量の変化予測

(a)等価CFC-11の排出量(各物質のオゾン層破壊効率をCFC-11に換算した排出量)
(b)等価実効塩素(EECl)の濃度(各物質の地表面での大気中濃度、塩素及び臭素の原子数と相対的なオゾン破壊効率を考慮した濃度)
(c)全球の年平均オゾン全量(60°S-60°N)
(d)10月(春季)の南極のオゾン全量(70°S-90°S)
(出典:「オゾン層破壊の科学アセスメント:2022」総括要旨(WMO and UNEP, 2022))。


参考文献

  • WMO and UNEP(2022), Scientific Assessment of Ozone Depletion:2022, Ozone Research and Monitoring-GAW Report No.278.

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