日射・赤外放射

用語解説

用語 解説
観測に関する用語
直達日射 太陽光球面から直接地上に到達する太陽放射を直達日射といい、太陽光線に対して垂直な面で受けた単位面積あたりの直達日射エネルギーの強さを直達日射照度という。
散乱日射 大気成分により散乱・反射して天空の全方向から届く太陽放射を(天空)散乱日射といい、水平面で受けた単位面積あたりの散乱日射エネルギーの強さを散乱日射照度という。
下向き赤外放射 大気中の空気分子・雲・二酸化炭素等から放射される長波(赤外)放射を大気放射といい、このうち地表方向へ向かう成分を下向き赤外放射という。水平面で受けた単位面積あたりの下向き赤外放射エネルギーを下向き赤外放射照度という。
太陽定数 大気上端で、太陽光線に対して垂直な面で受けた単位面積当たりの太陽放射エネルギーの強さ。気象庁では、世界気象機関(WMO)で採用されている値(1367W/m2)を用いている。
用語 解説
日射計の較正に関する用語
世界放射センター(WRC) 世界の放射基準の国際的な較正のために中心的な役割を担う機関。 1978年の世界気象機関(WMO)第30回執行委員会で、 スイスのダボス物理気象観測所(PMOD:Physikalisch-Meteorologisches Observatorium Davos) が指定された。
WRCは、World Radiation Centerの略。
地区放射センター(RRC) 世界気象機関(WMO)の地区協会(第Ⅰ:アフリカ、第Ⅱ:アジア、第Ⅲ:南米、第Ⅳ:北中米、第Ⅴ:南西太平洋、第Ⅵ:ヨーロッパ)ごとに地区内の放射観測の精度維持を目的に、 各地区協会が指定した中心的な役割を担う機関のこと。現在、世界で22の地区放射センターがあり、 日本の気象庁も、1965年のWMO第Ⅱ地区(アジア)協会会議において地区放射センターとしてインドと共に指定された。
RRCは、Reginal Radiation Centerの略。
国家放射センター(NRC) 世界気象機関(WMO)の加盟国ごとに、国内の放射測器の較正と精度維持を目的に、各地区協会が指定した中心的な役割を担う機関のこと。 現在、日本の気象庁は、国家放射センターも兼ねている。
NRCは、National Radiation Centerの略。
世界放射基準(WRR) 国際的な太陽放射照度の単位を示す計測標準。 太陽放射測定の世界的な均質性を確保するために、1980年から導入された。 現在、世界放射基準は、世界放射センターで管理されている世界基準器群(WSG)の測定値の 加重平均から決定され、±0.2%の精度を維持している。
WRRは、World Radiometric Referenceの略。
世界基準器群(WSG) 世界気象機関(WMO)の世界放射センターで管理されている 世界放射基準を決定する日射計群。 現在は、PMO-2、PMO-5、CROM-2L、PACRAD-3、TMI、HFの6台の絶対空洞放射計で構成されている。
WSGは、World Standard Groupの略。
地区基準器(RSP) 世界気象機関(WMO)の各地区協会の地区放射センターにおいて維持され、地区内の日射計の精度維持のために利用される。
RSPが、Regional Standard Pyrheliometerの略。
国家基準器(NSP) 世界気象機関(WMO)の各加盟国の国家放射センターにおいて維持され、国内の観測網で使用する日射計及び日照計の精度維持のために利用される。
NSPが、National Standard Pyrheliometerの略。
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赤外放射計の較正
赤外放射計の世界基準 2002年の世界気象機関(WMO)の測器観測法委員会(CIMO)第13回会合により赤外放射計についての統一した観測基準の制定が勧告され、 2004年に世界放射センターであるスイスのダボス物理気象観測所(PMOD:Physikalisch-Meteorologisches Observatorium Davos) 内に、赤外放射部門(WRC-IRS)が設立され、赤外放射計の世界基準が制定された。
WRC-IRSは、Infrared Radiometry Section of World Radiation Centerの略。
世界赤外放射基準器群(WISG) 世界気象機関(WMO)の世界放射センターで管理されている 赤外放射の世界基準を決定する赤外放射計群。 PIR(2台)とCG4(2台)の4台の赤外放射計で構成されている。
WISGは、World Infrared Standard Groupの略。
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国際機関等の用語
基準地上放射観測網(BSRN) 1990年に発足した、世界気候研究計画(WCRP)/全球エネルギー・水循環観測計画(GEWEX)の副計画の一つ。 気候システム解明を目的とした全球的な地表面放射収支の長期モニタリングのための観測網。 2004年からは全球気候観測システム(GCOS)の地上放射観測網も担っている。
BSRNは、Baseline Surface Radiation Networkの略。 詳細は、「BSRNのホームページ」を参照のこと。
世界気候研究計画(WCRP) 1980年に発足した、世界気象機関(WMO)、国際科学会議(ICSU)及び国連教育科学文化機関(UNESCO)の政府間海洋学委員会(IOC)がスポンサーとなって実施している国際研究計画。 気候の予測可能性および人間活動の気候影響の程度を評価するために必要な、 基礎的な気候システムおよび気候プロセスの科学的理解を発展させることを目的とする。 WCRPの調査プロジェクトには、全球エネルギー・水循環観測計画(GEWEX)、 気候変動性・予測可能性研究計画(CLIVAR)、熱帯海洋・地球大気計画(TOGA)、 成層圏プロセスとその気候における役割研究計画(SPARC)、気候と雪氷圏計画(CliC)、 海洋表層-低大気圏研究(SOLAS)がある。
WCRPは、World Climate Reseach Programmeの略。
世界放射資料センター(WRDC) 世界気象機関(WMO)の全球大気監視計画(GAW)における放射に関するデータセンター。 太陽放射や放射収支に関連した観測データの収集と提供を行っており、 収集した観測データについては、HP上で公開している。 1962年のWMO第14回執行委員会で、 ロシア中央地球物理観測所(Voeikov Main Geophysical Observatory)が指定された。
WRDCは、World Radiation Data Centreの略。

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