標高と紫外線
紫外線は、上空から地上に到達する間に、空気分子やエーロゾルにより散乱され、その強度は弱くなります(下左図参照)。
標高が高いと、その地点から上空の大気の量は少ないので、紫外線は散乱を受けにくくなり、その地点で受ける紫外線は強くなります。
また、標高が高いと、大気を通過する際のオゾンによる吸収も少なくなり、紫外線は強まります。下右図に、4月の正午頃のUVインデックス(推定値)の分布を示します。UVインデックスは、通常、北から南に行くほど大きくなりますが、標高の高い地域では同緯度の低地に比べUVインデックスの値が高くなっていることがわかります。
一般的に、UVインデックスは標高が1000m高くなると約10%増加するとされています。
山頂で大気が非常に澄んでいる場合などには、先に示した割合以上に紫外線は強くなることがあります。
高層気象台(つくば)で実施された夏季の乗鞍岳(2,772m)における紫外線観測では、
快晴時の場合、つくば(31m)にくらべ約40%紫外線が強くなりました。これは1,000mあたり約15%強くなることに換算されます(Ito et al., 2014)。
登山など標高の高い場所に出かける際には、紫外線対策を十分に行うようにしましょう。
標高が高いと、上空の大気の量が少なく、紫外線が散乱される割合は小さくなります。 |
4月の正午頃の晴天時UVインデックス(推定値)。エーロゾル量は一定と仮定しています。地形は20km四方の平均的な標高を用いています。本州中部の標高の高い地域では、UVインデックスの値が高くなっています。 |
UVインデックスに応じた紫外線対策についてはこちらです。
Ito et al.(2014):Absolute Calibration for Brewer Spectrophotometers and Total Ozone / UV Radiation at Norikura on the Northern Japanese Alps. Journal of the Aerological Observatry, 72, 45-55.