全球の海面水温の変動(2020年12月)

令和3年1月15日気象庁発表

診断

12月の全球の海面水温の状況は、以下の通りです。

太平洋赤道域の海面水温は、150˚E以西で顕著な正偏差、中部で顕著な負偏差でした。NINO.3海域の月平均海面水温偏差は-0.8℃、基準値との差は-0.9℃でした。
北太平洋では、日本の南から北米西岸にかけてと、熱帯域の西部で顕著な正偏差が見られました。
南太平洋では、熱帯域の西部とオーストラリアの東から30°S, 120°W付近にかけて顕著な正偏差、熱帯域の東部で顕著な負偏差が見られました。
インド洋では、赤道域と北西部を除く広い範囲で顕著な正偏差が見られました。
北大西洋では、カリブ海から40°N, 40°W付近にかけてと南米北東岸から熱帯域の東部にかけて顕著な正偏差が見られました。

全球海面水温平年偏差の分布

2020年12月の全球海面水温平年偏差の分布（平年
値は1981年〜2010年）。等値線の間隔は0.5℃。

解説

全球の海面水温の最近の傾向

　北太平洋では、正の太平洋十年規模振動（PDO）時に見られる海面水温偏差パターン（北太平洋中央部付近で負偏差、北米沿岸などで正偏差）が2014年頃から続いています。
　インド洋では、2020年夏から負のインド洋ダイポールモード現象（IOD）が発生していましたが、負のIOD時に見られる海面水温偏差パターン（インド洋熱帯域の南東部で正偏差、西部で負偏差）は不明瞭になりました。
　全球平均海面水温は、長期的な昇温傾向が持続しています（海面水温の長期変化傾向（全球平均））。

顕著な現象とは

全球の海面水温の診断にあたっては、海面水温平年偏差を標準偏差で規格化して（規格化海面水温偏差）、＋1を上回る正偏差（高温）、−1を下回る負偏差（低温）を顕著な現象として主に記述しています。ただし、ある程度の大きさ(数1000km以上)を持つ空間パターンを対象にしています。