太平洋十年規模振動(PDO)指数の変動
平成19年3月15日発表
気象庁地球環境・海洋部
診断 (2007)
2007年冬季(2006年12月〜2007年2月)のPDO指数は-0.1でした。PDO指数は、数十年規模の変動に注目すると、 1980年代から1990年代まではおおむね正の値(北太平洋中央部で海面水温が低い状態)で推移して いましたが、2000年以降は明瞭な傾向が見られません。
解説
太平洋では約20年の周期で大気と海洋が連動して変動しており、PDO(Pacific Decadal Oscillation:太平洋十年規模振動)と 呼ばれています。PDO指数は、この気候変動の指標です。PDO指数は、北太平洋の20°N以北における海面水温偏差の経験的直交関数(EOF) 第一モードの時間係数で定義しています(ただし、地球温暖化の影響を取り去るため、EOF計算を 行う前にそれぞれの地点の月平均海面水温偏差から全球平均海面水温偏差を除いています)。
このPDO指数が正(負)のとき、海面水温は、北太平洋中央部で平年より低く(高く)なり、北太平洋東部や赤道域で平年より高く (低く)なる傾向があります。 また、PDO指数が正(負)のとき、海面気圧は、北太平洋高緯度で平年より低く(高く)なる傾向があります。 これは、冬・春においてアリューシャン低気圧が平年より強い(弱い)ことを示しています。
2007年冬季(2006年12月〜2007年2月)のPDO指数は-0.1でした。このときの太平洋の海面水温には太平洋十年規模振動に特徴的なパターンは現れていません。
数十年の時間規模では、PDO指数は1920年代に負から正へ、1940年代に正から負へ、 1970年代末に負から正へ、それぞれ変化しています。 1980年代から1990年代まではおおむね正の値(北太平洋中央部で海面水温が低い状態)で推移して いましたが、2000年以降は明瞭な傾向が見られません。