太平洋十年規模振動(PDO)指数の変動
平成28年3月22日発表
気象庁地球環境・海洋部
診断 (2015年)
- 2015年のPDO指数(年平均値)は+1.6でした。10年以上の長い周期の変動に注目するとPDO指数は2000年頃から2010年代前半にかけておおむね負の値で推移していましたが、年平均値としては2014年に続いて2015年も正となりました。
図1:PDO指数の推移(1901年〜2015年)
赤線が年平均値、青線はその5年移動平均値です。また、月毎の指数を灰色の棒グラフで示しています。
解説
2015年のPDO指数(年平均値)は+1.6でした。
数十年の長い時間規模では、PDO指数は1920年代後半から1940年代前半にかけてと、1970年代末から2000年頃にかけての期間はおおむね正の値(北太平洋中央部で海面水温が低い状態)、1940年代後半から1970年代にかけてと、2000年頃から2010年代前半にかけての期間はおおむね負の値で推移しています。その中で、2014年頃から大気からの外力によって海面水温のパターンが変化し、2年続けて年平均値が正となったものと考えられます。月別に見ても2014年2月以降は正の値が続いており、近年とは異なる傾向が表れています。PDOは日本を含む世界各地の天候や、地球温暖化の加速・停滞と関連している可能性が示唆されており、その変動を引き続き監視していく必要があります。
参考
PDO指数の定義
PDO指数は、1901年から2000年までの期間について求めた北太平洋の20°N以北における海面水温偏差の経験的直交関数(EOF)第一モードに対して、月平均海面水温偏差(1901年から2000年までの平均値に対する差)を投影した係数で定義しています。ただし、地球温暖化の影響を取り去るため、EOF解析を行う前にそれぞれの地点の月平均海面水温偏差から全球平均海面水温偏差を除いています。