日本近海の海流(月概況)

令和2年7月20日発表
気象庁地球環境・海洋部

診断(2020年6月)

  • 黒潮は大蛇行していました。
  • 黒潮は、月を通して沖縄の北西180~190km付近を流れていました。都井岬、足摺岬、室戸岬、潮岬では、月を通して離岸して流れていました。
  • 東海沖の黒潮の最南位置は、上旬は北緯29度、東経137.5度付近、中旬は北緯29度、東経138度付近、下旬は北緯29度、東経138.5度付近となっていました。伊豆諸島付近では、月を通して三宅島付近を流れていました。
  • 親潮の南限位置は、上旬は北緯41.5度、東経143度付近でした。中旬、下旬は分枝構造がみられ、沿岸寄り分枝の南限位置は、中旬は北緯42度、東経143度付近、下旬は北緯42度、東経143.5度付近でした。沖合の分枝の南限位置は、中旬は北緯39.5度、東経147度付近、下旬は北緯40度、東経147.5度付近でした。
  • 親潮の面積は、月を通して平年よりかなり小さく、2月以降、各月として1982年の統計開始以来最も小さい状態が継続しています。
  • 対馬暖流の勢力は、上旬、中旬は平年より強く、下旬は平年並となっていました。

日本近海の深さ100mの月平均水温分布図(2020年6月)
日本近海の深さ100mの月平均水温分布図(2020年6月)

この図の水温は速報値です。日本近海のデータの図は、診断の発表後も、後から入手した観測値によって更新されることがあります。

解説

沖縄周辺、日本の南から関東沖にかけての海流

2020年6月の沖縄周辺、日本の南から関東沖にかけての海流の実況は、表1のとおりでした。

表1:沖縄周辺、日本の南から関東沖にかけての海流の旬ごとの経過
海域・項目 上旬 中旬 下旬
沖縄本島から北西沖の黒潮までの距離(※1 190km付近 190km付近 180km付近
トカラ海峡の黒潮の通過緯度/向き(※1 北緯29.8度、東南東 北緯29.9度、南東 北緯30.1度、南東
都井岬での黒潮の離岸・接岸(※1 離岸 離岸 離岸
足摺岬での黒潮の離岸・接岸(※1 離岸 離岸 離岸
室戸岬での黒潮の離岸・接岸(※1 離岸 離岸 離岸
潮岬での黒潮の離岸・接岸(※1 離岸 離岸 離岸
東海沖の黒潮流路の最南位置(※2 北緯29度、東経137.5度付近 北緯29度、東経138度付近 北緯29度、東経138.5度付近
伊豆諸島付近の黒潮通過位置(※1 三宅島付近 三宅島付近 三宅島付近
房総半島での黒潮の離岸・接岸(※1 接岸 離岸 接岸
その他の顕著な現象 熊野灘から遠州灘にかけては中旬に暖水域がみられた
東海沖では、上旬に北緯31度、東経137.5度付近、中旬に北緯32.5度、東経136.5度付近、下旬に北緯32度、東経136度付近に冷水渦がみられた
四国沖では、上旬に北緯32度、東経132.5度付近に冷水渦がみられた
沖縄本島の東では、下旬に北緯26.5度、東経129.5度付近に冷水渦がみられた
沖縄本島の南から南西では、上旬に北緯24度、東経128度付近、中旬に北緯24度、東経127.5度付近、下旬に北緯24度、東経127度付近に暖水渦がみられた
石垣島の南東から南では、上旬に北緯22.5度、東経125度付近に、中旬に北緯22.5度、東経124.5度付近、下旬に北緯23度、東経124度付近に暖水渦がみられた

(※)が付いている項目の見方については、「海流の診断の見方」のページもあわせてご参照ください。

 

日本の東と日本海の海流

2020年6月の日本の東と日本海の海流は、表2のとおりでした。

表2:日本の東と日本海の海流の旬ごとの経過
項目 上旬 中旬 下旬
親潮の沿岸寄りの分枝の南限位置(※3 北緯41.5度、東経143度付近 北緯42度、東経143度付近(図中A) 北緯42度、東経143.5度付近
親潮の沖合の分枝の南限位置(※3 なし 北緯39.5度、東経147度付近 北緯40度、東経147.5度付近(図中B)
その他の親潮系冷水の位置 北緯39.5度、東経144度付近 北緯40度、東経143.5度付近 北緯40.5度、東経143.5度付近、北緯39.5度、東経146.5度付近
親潮の面積(※4 平年よりかなり小さい 平年よりかなり小さい 平年よりかなり小さい
津軽暖流の東端の経度(※5 東経143度付近(平年並)(図中C) 東経143度付近(平年並)(図中C) 東経143度付近(平年並)(図中C)
日本の東の黒潮系暖水の北限緯度(※6 北緯37.5度付近(平年より北)(経度は145度付近) 北緯37.5度付近(平年より北)(経度は145.5度付近)(図中D) 北緯37.5度付近(平年より北)(経度は145.5度付近))(図中D)
その他の日本の東の海流 釧路沖では、上旬、中旬に北緯40.5度、東経145.5度付近、下旬に北緯41度、東経145.5度付近に暖水渦がみられた
本州東方では、下旬に北緯38.5度、東経145.5度付近に暖水渦がみられた
日本海の海流 対馬暖流は、山陰沖西部を北東に流れ、隠岐付近の北緯36.5度、東経133度付近から北に流れ、北緯37.5度付近から日本海南部を時計回りに流れ、山陰沖東部の北緯37度、東経134度付近から東に流れ、若狭湾沖の東経135度付近から北北東に流れ、佐渡沖の北緯39.5度、東経137度付近から東に流れ、秋田沖の東経139.5度付近から北に流れ、津軽沖の北緯41.5度付近から東に流れて津軽海峡に達していた
檜山沖から積丹半島沖にかけて、北に向かう流れがみられた
対馬暖流の勢力(※7 平年より強い 平年より強い 平年並

(※)が付いている項目については、「海流の診断の見方」のページもあわせて参照ください。

 

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