日本近海の海面水温(月概況)

令和5年11月20日 気象庁発表

診断 (2023年10月)

  • オホーツク海南部では、広い範囲で海面水温が平年よりかなり高くなっていました(図中A)。
  • 日本海では、広い範囲で海面水温が平年よりかなり高くなっていました(図中B)。
  • 北海道南東方、本州東方では、広い範囲で海面水温が平年より高く、平年よりかなり高い海域もみられました(図中C)。
  • 東シナ海、沖縄の東では、広い範囲で海面水温が平年より高く、平年よりかなり高い海域もみられました(図中D)。
  • 四国・東海沖では、広い範囲で海面水温が平年より高く、平年よりかなり高い海域もみられました(図中E)。一方、紀伊半島の南では、海面水温が平年より低い海域がみられました(図中F)。
  • 関東南東方、父島近海の海面水温は広い範囲で平年並となっていました(図中G)。
  • 沖縄の南では、海面水温が平年より高い海域がみられました(図中H)。
  • 南鳥島近海では、広い範囲で海面水温が平年より高く、平年よりかなり高い海域もみられました(図中I)。

日本近海の月平均海面水温平年差分布図(2023年10月)
日本近海の月平均海面水温平年差分布図(2023年10月)

海面水温の平年値(1991〜2020年の30年間の平均値)からの差を示しています。 平年差は、図の右にある0.5℃ごとのスケールと同じ色で色分けされています。 内湾域等は、薄い灰色で示しています。また、海氷のために海面水温のデータがない海域は、灰色の網掛けで示しています。

この図の海面水温平年差は速報値です。日本近海のデータの図は、診断の発表後も、後から入手した観測値によって更新されることがあります。

解説

日本近海の海面水温

オホーツク海南部では、広い範囲で海面水温が平年よりかなり高くなっていました(図中A)。この海域では、9月下旬には広い範囲で海面水温が平年よりかなり高くなっていましたが、10月上旬に平年より風が強く、日射量が少なかった影響で、上旬から中旬にかけて海面水温が平年よりかなり高い海域が縮小しました。

日本海では、広い範囲で海面水温が平年よりかなり高くなっていました(図中B)。この海域では、9月下旬には広い範囲で海面水温が平年よりかなり高くなっていましたが、10月上旬の寒気や平年より風が強かった影響で、上旬から中旬にかけて海面水温が平年よりかなり高い海域が縮小しました。日本海南部の海面水温は、解析値のある1982年以降で10月として最も高くなりました。

北海道南東方、本州東方では、広い範囲で海面水温が平年より高く、平年よりかなり高い海域もみられました(図中C)。これは、下層の暖水の影響に加え、9月に海面水温が平年よりかなり高かったことや、10月下旬に平年より風が弱く、日射量が多かった影響もあったと考えられます。一方、上旬に寒気や平年より風が強かった影響で、中旬には本州東方の東経145度以東で海面水温が平年より低い海域がみられるようになりました。

東シナ海、沖縄の東では、広い範囲で海面水温が平年より高く、平年よりかなり高い海域もみられました(図中D)。これらの海域では、9月下旬に引き続き10月上旬も広い範囲で海面水温が平年よりかなり高くなっていましたが、中旬には寒気の影響で海面水温が平年よりかなり高い海域が縮小しました。

四国・東海沖では、広い範囲で海面水温が平年より高く、平年よりかなり高い海域もみられました(図中E)。一方、紀伊半島の南では、黒潮大蛇行に伴う下層の冷水の影響で、海面水温が平年より低い海域がみられました(図中F)。

関東南東方、父島近海の海面水温は広い範囲で平年並となっていました(図中G)。これらの海域では、9月下旬には海面水温が平年より高くなっていましたが、10月上旬と中旬に台風第15号や前線の影響で平年より日射量が少なく、風が強かったことにより、中旬以降、海面水温が平年より低い海域がみられるようになりました。

沖縄の南では、海面水温が平年より高い海域がみられました(図中H)。東経125度付近では、上旬に台風第14号により平年より風が強く、日射量が少なかった影響で、中旬には海面水温が平年より低い海域がみられました。

南鳥島近海では、月を通して平年より風が弱く、日射量が多かったため、広い範囲で海面水温が平年より高く、平年よりかなり高い海域もみられました(図中I)。


海面水温の診断にあたって

  • 1991〜2020年の30年間に出現した海面水温の上位1/3以上を「平年より高い」、下位1/3以下を「平年より低い」とし、それらを除いた中央1/3の範囲を「平年並」としています。また、上位(下位)1/10以上(以下)を「平年よりかなり高い(低い)」としています。

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