漂流型海洋気象ブイロボット
商船の運航や漁船の操業などにおいて、海上での安全を確保するには、海の現在の状況、とりわけ波浪の様子を把握し、今後の状況を予測するための観測が不可欠です。しかしながら、外洋における波浪観測は、沿岸での観測に比べて高い頻度で実施することが困難なため、常に観測データが不足しています。
気象庁では、外洋における波浪観測を効率的に実施するため、洋上を漂流しつつ、リアルタイムで継続的に観測データを取得することが可能な漂流型海洋気象ブイロボット(以下、「海洋気象ブイ」という)による観測を平成12年から実施しています。
現在使用している海洋気象ブイは、直径46cm(円板径64cm・高さ54cm)の球形で、重量約30kgと、船上からの投入作業が容易なように小型のものを使用しています。
観測種目は気圧・水温・有義波高・有義波周期と位置情報です。特に、このように小型で機動観測の可能な海洋気象ブイによる波浪の観測は、気象庁が世界に先駆けて実施しているものです。通常3時間ごとに観測を行なっていますが、台風接近時など波が高い場合は、陸上からの指令により1時間毎の観測に切り替えて海況の詳細な把握に努めています。
観測値は波浪観測情報から閲覧できます。また、運用を終了した海洋気象ブイの航跡図および観測データは、漂流型海洋気象ブイロボット観測データから閲覧できます。
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海洋気象ブイの形状
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気象庁観測船からの投入風景
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漂流する海洋気象ブイ
海洋気象ブイは、 3か月程度の期間、継続的な波浪の観測が可能です。気象庁では、日本周辺を4つの海域(日本の東、日本の南、東シナ海、日本海)に分け、各海域に年間4基の海洋気象ブイを投入することにより、一年を通じて日本周辺の波浪を観測しています。
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海洋気象ブイの観測場所