黒潮の数か月から十年規模の変動(流量)

平成18年5月1日発表

気象庁地球環境・海洋部

診断(2005年)

本州南方の黒潮の流量は、近年では1996年ころに極小、2000年ころに極大、2002年ころに極小となりました。 2000年ころから北太平洋中央部における風の場は、海洋の循環を強める方にはたらいており、これに伴って黒潮流量が2002年以降増加していると診断できます。
黒潮の流量

東経137度線を横切る冬季・夏季の黒潮の流量の経年変化(1972年冬季~2006年冬季)

夏季と冬季の気象庁海洋気象観測船の観測に基づく深さ約1250mを基準とした地衡流量を計算し、本州南方における東向き流量からその南側の西向き流量(黒潮反流)を再循環する量として差し引いた正味の東向きの値を黒潮の流量としています。細線は観測値、太線はその2年移動平均を表します。

解説

東経137線を横切る日本南方の黒潮流量には、10年程度の周期変動がみられます。このような黒潮流量の変動は、北太平洋中央部(北緯25~35度、東経170度~西経170度)における風応力の回転の強さの変動によって生じた海洋の内部構造の変動が、ロスビー波によって約3~5年かけて北太平洋西岸に伝わったものと考えられます(参考:黒潮の流量と北太平洋中央部の風)
北太平洋中央部の風応力の回転は、2000年以降負の偏差が大きくなっており(すなわち、海洋に時計回りの向きの流れを引き起こし、亜熱帯循環を強くする)、これに伴って2002年以降の黒潮流量が増加していると診断できます。

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