黒潮の数か月から十年規模の変動(流量)

平成19年5月1日発表

気象庁地球環境・海洋部

診断(2006年)

東経137度線を横切る黒潮流量は、2002年以降増加傾向でしたが、2007年冬季には急激に減少しました。北太平洋中央部における風の場は2003年以降海洋の循環を弱める方に働いているため、2007年冬季の黒潮流量が減少したものと考えられます。
黒潮の流量

東経137度線を横切る冬季・夏季の黒潮の流量の経年変化(1972年冬季~2007年冬季)

夏季と冬季の気象庁海洋気象観測船の観測に基づく深さ約1250mを基準とした地衡流量を計算し、本州南方における東向き流量からその南側の西向き流量(黒潮反流)を再循環する量として差し引いた正味の東向きの値を黒潮の流量としています。細線は観測値、太線はその2年移動平均を表します。

解説

東経137線を横切る日本南方の黒潮流量には、10年程度の周期変動がみられます。 このような黒潮流量の変動は、北太平洋中央部(北緯25~35度、東経170度~西経170度)における風応力の回転の強さの変動がロスビー波によって約3~5年かけて北太平洋西岸に伝わったものと考えられます(参考:黒潮の流量と北太平洋中央部の風)
北太平洋中央部の風応力の分布は2003年以降亜熱帯循環を弱める傾向となっており、これに伴って2007年以降の黒潮流量が減少するものと考えられます。

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