黒潮の数か月から十年規模の変動（流量）
平成21年4月30日発表
気象庁地球環境・海洋部
診断(2008年)
東経137度線を横切る黒潮流量は、2002年から2006年ころまでは増加していましたが、2006年以降は減少しています。
東経137度線を横切る冬季・夏季の黒潮の流量の経年変化（1972年冬季～2009年冬季）
夏季と冬季の気象庁海洋気象観測船の観測に基づく深さ約1250mを基準とした地衡流量を計算し、本州南方における東向き流量からその南側の西向き流量（黒潮反流）を再循環する量として差し引いた正味の東向きの値を黒潮の流量としています。細線は観測値、太線はその2年移動平均を表します。
解説
東経137線を横切る日本南方の黒潮流量には、数年から10年程度の周期変動がみられます。 近年では1996年と2002年ころに極小、2000年ころに極大となり、2002年以降は流量が増加していました。 2006年ころから2007年にかけては半年ごとの流量変化が大きいものの、長期的にみると、2006年以降は流量が減少しています。 このような黒潮流量の変動は、北太平洋中央部における風の分布や強さの変動が影響していると考えられます（参考：黒潮の流量と北太平洋中央部の風）。
北太平洋中央部における風の分布や強さは、2003年以降、黒潮の流れを含む海洋の循環を弱める方に働いているため、 黒潮流量は今後も少ない状態が続くと考えられます。