海面浮遊汚染物質(プラスチック類)

平成24年2月29日 気象庁発表

診断(2011年)

  • 2011年の日本周辺海域及び東経137度線における海面浮遊汚染物質(プラスチック類)の航走100kmあたり観測個数は、それぞれ16個、9個であり、両海域とも過去10年の水準の2~3倍の観測個数でした。
2011年の海面浮遊汚染物質の分布

2011年の海面浮遊汚染物質発見個数

解説

気象庁では、北海道周辺・日本東方海域、日本海、日本南方海域、東シナ海のほか、三陸沖や四国沖の太平洋側なども含む日本全体を取り巻く海域を「日本周辺海域」、東経137度の北緯3~30度を「東経137度線」として、海面浮遊汚染物質の航走100 kmあたり観測個数について診断を行っています。日本周辺海域では1990年代までは減少傾向でしたが、その後は横ばいとなりました。一方、東経137度線においては、年によって多数の海面浮遊汚染物質が観測されることがあるものの、1985年以降、おおむね5個/100 kmを下回る水準で推移しています。

2011年は、日本周辺海域での航走100kmあたり観測個数は、過去10年で最も多く、東経137度線では2008年に次いで2番目に多い観測個数でした。日本周辺海域の観測個数が多いのは、東北地方太平洋沖地震の津波によって陸上から海洋へ流出したプラスチック類が多かったものと考えられます。また、プラスチック類の他にも同地震の津波によって陸上から海上に流出したと考えられる冷蔵庫などの生活用品の他、木材などの建築資材や船舶も多く観測されました。

北西太平洋で観測された海面浮遊汚染物質の分布を見ると、日本周辺海域の航走100kmあたり観測個数は、いずれの季節も20個を超える海面浮遊汚染物質が観測された点があり、特に4月以降は50個を超える観測点がありました。一方、北緯20度以南の海域では、航走100kmあたり観測個数が10個を超えることはほとんどありませんでしたが、赤道付近の海域では、冬季及び夏季は20個、春季には50個を超える観測点がありました。春季には北海道南東方や本州東方の沿岸域で、夏季や秋季には沖合域で多く観測されました。これらの海域では、プラスチック類の他にも東北地方太平洋沖地震の津波によって陸上から海洋へ流出したと考えられる冷蔵庫などの生活用品の他、木材などの建築資材や船舶も多く観測されました。

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