重金属(過去の診断)
平成26年3月3日 気象庁発表
診断(2013年)
- 水銀の濃度は、東経137度線の北緯20度で観測された28ng/kgが最高でした。
- カドミウムの濃度は、北海道南方で観測された56ng/kgが最高でした。
- 北西太平洋では、水銀、カドミウムとも自然界のバックグランドレベルにあるものと考えられます。
海域 | 水銀 | カドミウム | ||
---|---|---|---|---|
日本周辺海域 | 北海道南方 | 1 - 6 | 23 - 56 | |
日本海 | 5 - 7 | 12 - 14 | ||
房総半島沖 | 1 - 7 | 2 - 12 | ||
本州南方 | 3 | 5 - 17 | ||
東シナ海 | 1 - 5 | 0 - 5 | ||
北西太平洋 | 東経137度線 北緯20~30度 |
1 - 28 | 1 - 4 | |
東経137度線 北緯5~15度 |
2 - 7 | 0 - 1 |
解説
水銀濃度は、東経137度線の北緯20度で観測された 28ng/kg [ナノグラム毎キログラム]が最高ですが、 この値は「水質汚濁に係る環境基準(昭和46年・環境庁告示第59号)」に示された公共用水域における総水銀の基準値( 0.0005mg/L [ミリグラム毎リットル]以下)と比較すると、 20分の1ほどの低濃度です。
カドミウムの濃度は、栄養塩の豊富な親潮水が分布する北海道南方で観測された 56ng/kg が最高ですが、この値は上記の環境基準値 0.003mg/L(平成23年10月27日改正)と比較すると、50分の1ほどの低濃度です。 なお、海水中のカドミウム濃度はリン酸塩濃度と高い相関を示すことが知られており、その鉛直分布型も類似しています。 北海道南方海域は、リン酸塩などの栄養塩に富む親潮域にあたるので、本州南方のように栄養塩に乏しい黒潮域に比べると、カドミウム濃度は高くなります。
2013年の日本周辺海域及び北西太平洋では、環境基準値を超える濃度の水銀及びカドミウムは観測されていません。
外洋域における水銀及びカドミウムの濃度の自然レベルの値は、それぞれ 0.4~2ng/kg 及び 0.1~110ng/kg の範囲とされています。 2013年に気象庁が観測した値の平均をこれらと比較すると、対象としたすべての海域で、水銀はおおむね同レベルか、わずかに高い値ですが、カドミウムは示された範囲に収まっています。 したがって、北西太平洋では、水銀、カドミウムともほぼ自然界のバックグランドレベルにあるものと判断できます。
調査海域と診断基準
2013年に観測された表面海水中の水銀及びカドミウムの濃度範囲を海域ごとに分けて表に示しました(日本周辺海域の区分は右図のとおりです)。 1990年代後半以降、水銀、カドミウムとも、いずれの海域においても年平均値はほとんど変動していません。
ここでは診断の基準として、「水質汚濁に係る環境基準(昭和46年・環境庁告示第59号)」に示された公共用水域における環境基準値を準用します。
※ 海水1リットルの重さは1020~1030gの範囲にあり、ほぼ1kgとみなすことができます。 また、ng [ナノグラム]は10億分の1グラム、mg [ミリグラム]は1,000分の1グラムです。 したがって、0.001mg/L がほぼ 1,000ng/kg に相当し、水銀の環境基準値 0.0005 mg/L は、ほぼ 500ng/kg 、カドミウムの環境基準値 0.003 mg/L(平成23年10月27日改正)はほぼ 3,000ng/kg に相当します。