浮遊タールボール・油分
平成20年1月31日 気象庁発表
診断(2007年)
- 2007年の春季に、東経137度線の黒潮域で、微量のタールボールが採取されました。
- 北西太平洋全般には、タールボールが採取されることは、1996年以降まれになっています。
- 日本周辺海域および東経137度線における油分の濃度は、観測開始以来低下傾向が続いています。
2007年のタールボール密度
(a) 冬季,(b) 春季,(c) 夏季,(d) 秋季
図中の“+(NIL)”はタールボールが採取されなかったことを示します。
(a) 冬季,(b) 春季,(c) 夏季,(d) 秋季
図中の“+(NIL)”はタールボールが採取されなかったことを示します。
解説
2007年の春季に東経137度線の黒潮域で、微量のタールボールが採取されましたが、他の季節や他の海域でタールボールは採取されませんでした。
1980年代の初めまでは、日本周辺海域および東経137度線の北緯20~30度でタールボールが多く採取され、1979年には海域平均で 0.6mg/m2 を上回っていました。しかし、マルポール条約の付属書Iに基づいて船舶からの油類の排出が規制された1983年以降、タールボール密度は大幅に減少しました。日本周辺海域では、1978年から1982年の5年平均が 0.29 mg/m2であったのに対し、規制処置後の1984年から1988年の5年平均は 0.08mg/m2 になっています。東経137度線の北緯20~30度では、1984年以降タールボールはまれにしか採取されていません。
北西太平洋全般に、タールボールが採取されることは、1996年以降まれになっています。1996年以降は、観測を実施しているすべての海域で、タールボールがほとんど採取されない状況が続いています。
日本周辺海域および東経137度線における油分の濃度は、観測開始以来低下傾向が続いています。 油分濃度は年ごとに大きく変動していますが、長期的にみて低下していることは、油類の排出規制の効果であると考えられます。