浮遊タールボール・油分
平成25年2月28日 気象庁発表
診断(2012年)
- 2012年は、観測したすべての海域で、タールボールは採取されませんでした。
- 日本周辺海域及び東経137度線における油分の年平均値は、64及び53ng/kg クリセン換算量でした。
2012年のタールボール密度
(a) 1~3月,(b) 4~6月,(c) 7~9月,(d) 10~12月
図中の“+(NIL)”はタールボールが採取されなかったことを示します。
(a) 1~3月,(b) 4~6月,(c) 7~9月,(d) 10~12月
図中の“+(NIL)”はタールボールが採取されなかったことを示します。
解説
浮遊タールボールは、1980年代の初めまでは、日本周辺海域及び東経137度線の北緯20~30度で多く採取されました。特に1979年には、両海域での平均値が 0.6mg/m2 を上回っていました。 しかし、マルポール条約(マルポール73/78条約)の付属書I(油による汚染の防止のための規則)に基づいて船舶からの油類の排出が規制された1983年以降、タールボール密度は大幅に減少しました。 日本周辺海域では、1978年から1982年の5年平均が 0.29mg/m2 であったのに対し、条約発効後の1984年から1988年の5年平均は 0.08mg/m2 になっています。 東経137度線の北緯20~30度では、1984年以降タールボールはまれにしか採取されていません。1996年以降、北西太平洋でタールボールが採取されることはまれになっています。
油分の年平均値は、日本周辺海域及び東経137度線において、観測開始以来大きく変動しながら低下傾向が続き、2005年以降ほぼ 50ng/kg クリセン換算量以下の値となっていましたが、2012年は、日本周辺海域で 64ng/kg 、東経137度線で 53ng/kg クリセン換算量でした。 油分濃度は、年により若干の変動がありますが、この低下傾向と、2005年以降の低濃度は、油類の排出規制の効果であると考えられます。