海氷域面積の長期変化傾向(北極域)
平成30年10月22日発表
気象庁地球環境・海洋部
診断(2018年)
北極域の海氷域面積は、1979年以降、長期的に見ると減少傾向を示しています。特に、年最小値において減少傾向が顕著で、1年当たりの減少率は北海道の面積に匹敵します。
2018年の北極域の海氷域面積は、年最大値は1979年の統計開始以来2番目、年最小値は1979年の統計開始以来7番目に小さな値でした。
解説
北極域の海氷域面積は、1979年以降、長期的に見ると減少傾向を示しており、特に年最小値において減少傾向が顕著です。 海氷域面積の年最小値は2007 年に大きく減少し、それ以降の年最小値はいずれの年も2006年以前よりも小さくなっています。 1979年から2018年まで毎年8.9[7.5~10.4]万平方キロメートルの減少となっており、この値は北海道の面積(8.3万平方キロメートル)に匹敵します (角括弧中の数字は95%の信頼区間を示す)。
海氷域面積の年最小値が減少傾向を示している要因の一つとして、海氷が融解することで開放水面が増えた分、太陽放射をより吸収し、 更に海氷の融解をもたらす正のフィードバック効果が働いている可能性があり、海氷がより融解しやすい状態になっているものと考えられます。
気候変動に関する政府間パネル(IPCC)第5次評価報告書(2013年)では、 1979年以降の北極域の海氷の減少に人為的影響が寄与していた可能性が非常に高い、としています。
なお、2018年の北極域の海氷域面積は、3月16日に年最大値1459.79万平方キロメートルとなり、年最大値としては1979年の統計開始以来2番目に小さな値でした。一方、 9月16日に年最小値の464.17万平方キロメートルとなり、年最小値としては7番目に小さな値でした。
備考
この「海氷域面積の長期変化傾向(北極域)」の診断は、NSIDC(アメリカ雪氷データセンター)提供の観測データを用いており、2018年7月6日以降はその速報値を用いて解析しています。観測や解析の方法については、北極域と南極域の海氷解析の解説を参照してください。