海氷域面積の長期変化傾向(全球)

平成19年9月3日発表

気象庁地球環境・海洋部

診断(2006年)

北極の海氷域面積は、1979年以降、長期的に見ると減少傾向を示しています。 特に、海氷域面積が1年間で最も小さくなる夏季において、その減少が顕著です。 南極の海氷域面積は、1990年代以降わずかながら増加傾向を示していますが、明瞭な変化とは言えません。

北極海氷域面積偏差経年変化図
南極海氷域面積偏差経年変化図
全球海氷域面積偏差経年変化図

北極域・南極域・全球の海氷域面積の規格化偏差の経年変化(1978年11月~2006年12月)

縦軸は、半月毎の海氷域面積の規格化偏差(偏差を標準偏差で割った値)、青線は3年移動平均値を表す。

解説

北極の海氷域面積は、1979年以降、長期的に見ると減少傾向を示しています。特に、海氷域面積が1年間で最も小さくなる夏季において、その減少が顕著です。 南極の海氷域面積は1990年代初頭からわずかながら増加していますが、その変化量は小さく、長期的に増加しているとまでは言えません。
2007年2月に公表された気候変動に関する政府間パネル(IPCC)第4次評価報告書第1作業部会報告書の政策決定者向け要約では、海氷に関して以下のような見解が示されています。

  • 1978 年からの衛星観測によれば、北極の年平均海氷面積は、10年当たり2.7[2.1~3.3]%縮小した。特に夏季の縮小は10年当たり7.4[5.0~9.8]%と大きい。これらの値は、第3次評価報告書で示されたものと整合している(注:大括弧[ ]内に示した数値は、解析の誤差範囲を表す)。
  • 南極の海氷面積には、年々変動と局地的な変化が継続して見られるものの、統計学的に有意な平均的傾向は見られない。これはこの地域全体で平均すると昇温が認められないことと整合している。
  • 北極及び南極の海氷は、すべての温室効果ガスの排出シナリオにおいて、縮小すると予測されている。北極海の晩夏における海氷は、21世紀後半までにほぼ完全に消滅するとの予測もある。

衛星による海氷観測資料が蓄積された期間はここ30年ほどに過ぎません。その期間において北極の海氷域が減少していることは事実ですが、人為起源の地球温暖化をどのように反映したものなのか、研究が続けられています。

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