海氷域面積の長期変化傾向(全球)
平成24年1月31日発表
気象庁地球環境・海洋部
診断(2011年)
北極域の海氷域面積は、1979年以降、長期的に見ると減少しています。特に、海氷域面積の年最小値は減少が顕著で、2011年までの減少率は8.6万平方キロメートル/年となりました。2011年の年最小値は440万平方キロメートルで、2007年に次いで2番目に小さい記録となりました。また、海氷域面積の年平均値は、2011年までの減少率が5.7万平方キロメートル/年となり、2011年の年平均値はこれまでの最小であった2007年をわずかに下回る1056万平方キロメートルとなりました。
一方、南極域における2011年の海氷域面積の年平均値は、増加率2.5万平方キロメートル/年で増加していますが、年最小値は年ごとの変動が大きく、2011年の年最小値はこれまでの最小であった1997年をわずかに下回る248万平方キロメートルとなりました。
北極域の海氷域面積の年最小値の経年変化(1979年~2011年)
北極域の海氷域面積の年平均値の経年変化(1979年~2011年)
南極域の海氷域面積の年平均値の経年変化(1979年~2011年)
南極域の海氷域面積の年最小値の経年変化(1979年~2011年)
青色の折れ線は海氷域面積の経年変化を示す(上から順に、北極域年最小値、北極域年平均値、南極域年平均値、南極域年最小値)。点線は各々の長期変化傾向。
解説
北極域の海氷域面積は、1979年以降、長期的に見ると減少しています。特に、年最小値は減少が顕著で、1979年から2011年までの減少率は 8.6 [6.7~10.4] 万平方キロメートル/年(角括弧中の数字は95%の信頼区間を示す)となりました。2011年の海氷域面積の年最小値は440万平方キロメートルで、2007年の431万平方キロメートルに次いで2番目に小さい記録となりました。また、海氷域面積の年平均値は、2011年までの減少率が 5.7 [4.9~6.5] 万平方キロメートル/年となり、2011年の年平均値は、これまでの最小であった2007年の1058万平方キロメートルをわずかに下回り、1979年以降最小の1056万平方キロメートルとなりました。
一方、南極域における海氷域面積の年平均値は、増加率2.5 [1.6~3.4] 万平方キロメートル/年で増加していますが、年最小値は年ごとの変動が大きく、2011年の年最小値はこれまでの最小であった1997年の252万平方キロメートルをわずかに下回る248万平方キロメートルとなりました。
なお、北極域、南極域における海氷域面積の年々変動の要因については、各機関で研究が行われており、特に北極域の海氷域面積の年最小値については、気象の影響の他に海氷の厚さや海洋の影響などがあることが指摘されています。
備考
この「海氷域面積の長期変化傾向(全球)」の診断は、NSIDC(アメリカ雪氷データセンター)提供の観測データを用いており、2011年10月1日以降についてはその速報値を用いて解析しています。これにより、2011年10月20日に発表した「海氷域面積の長期変化傾向(北極域)」の診断の北極域の海氷域面積の年最小値等は今回示した値と異なりますのでご注意ください。