海氷域面積の長期変化傾向（全球）

平成30年1月31日発表

気象庁地球環境・海洋部

診断(2017年)

北極域の海氷域面積は、1979年以降長期的に減少しています。特に、年最小値は減少が顕著で、1年当たりの減少率は北海道の面積にほぼ匹敵します。
一方、南極域における海氷域面積は、1979年以降年最大値と年平均値に長期的な増加傾向がみられます。
2017年は、北極域の年最大値と、南極域の年平均値及び年最小値が、それぞれ過去最小となりました。

解説

北極域の海氷域面積は、1979年以降、長期的に減少しています。 特に、年最小値は減少が顕著で、1979年から2017年までの1年当たりの減少率は、9.0[7.5～10.6]万平方キロメートルとなっており、 この値は北海道の面積（8.3万平方キロメートル）にほぼ匹敵します（角括弧中の数字は95％の信頼区間を示す）。 2017年の年最大値は、1979年の統計開始以降最小の1455万平方キロメートルとなりました。
一方、南極域における海氷域面積の年最大値と年平均値には、1979年以降長期的な増加傾向がみられ、 1979年から2017年までの1年当たりの増加率は、それぞれ2.3[1.0～3.5]万平方キロメートルと1.9[0.8～3.0]万平方キロメートルとなっています。 年最小値の長期的な増加傾向はみられなくなりました。
なお、南極域では2016年に引き続き2017年も海氷域面積が平年値を下回り、2017年の年最小値は1979年の統計開始以降最小の224万平方キロメートル、年平均値も統計開始以降最小の1109万平方キロメートルとなりました。
気候変動に関する政府間パネル（IPCC）第５次評価報告書（2013年）では、 1979年以降の北極域の海氷の減少に人為的影響が寄与していた可能性が非常に高い、南極域の海氷面積にわずかな増加が観測されていることの科学的理解については確信度が低い、 としています。

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備考

この「海氷域面積の長期変化傾向（全球）」の診断は、NSIDC（アメリカ雪氷データセンター）提供の観測データを用いています。2017年11月12日以降の海氷域面積については、速報値の観測データを解析しています。
観測や解析の方法については、北極域と南極域の海氷解析の解説を参照してください。