海氷域面積の長期変化傾向(全球)

令和3年2月1日 気象庁発表

診断(2020年)

北極域の海氷域面積は、1979年以降長期的に減少しています。特に、年最小値は減少が顕著で、1年当たりの減少量は北海道の面積に匹敵します。
一方、南極域の海氷域面積は、1979年以降年最大値に長期的な増加傾向がみられます。

北極域の海氷域面積の経年変化(1979年~2020年)


南極域の海氷域面積の経年変化(1979年~2020年)
北極域(上)と南極域(下)の海氷域面積の経年変化(1979年~2020年)

折れ線は海氷域面積(上から順に年最大値、年平均値、年最小値)の経年変化、破線は各々の長期変化傾向を示す。



解説

北極域の海氷域面積は、1979年以降長期的に減少しています。特に、年最小値は減少が顕著で、1979年から2020年まで1年当たり9.1[7.7~10.4]万平方キロメートルの減少となっており、この値は北海道の面積(8.3万平方キロメートル)に匹敵します(角括弧中の数字は95%の信頼区間を示す)。2020年の年平均値は1979年の統計開始以降最小、年最小値は2番目に小さくなりました。
一方、南極域における海氷域面積の年最大値には、1979年以降長期的な増加傾向がみられ、1979年から2020年まで1年当たり1.5[0.4~2.7]万平方キロメートルの増加となっています。なお、南極域では2016年から2019年まで海氷域面積が平年値を下回っていましたが、2018年以降は再び増加に転じています。
「気候変動に関する政府間パネル(IPCC)第5次評価報告書」(2013年)では、1979年以降の北極域の海氷の減少に人為的影響が寄与していた可能性が非常に高い、南極域の海氷面積にわずかな増加が観測されていることの科学的理解については確信度が低い、としています。
また、「変化する気候下での海洋・雪氷圏に関するIPCC特別報告書」(2019年)では、最近数10年にわたって、地球温暖化は雪氷圏の広範に及ぶ退縮をもたらし、それは氷床及び氷河の質量の消失(確信度が非常に高い)、雪氷被覆の減少(確信度が高い)及び北極域の海氷の面積や厚さの減少(確信度が非常に高い)、並びに永久凍土における温度の上昇(確信度が非常に高い)を伴う、としています。



備考

この「海氷域面積の長期変化傾向(全球)」の診断は、NSIDC(アメリカ雪氷データセンター)提供の観測データを用いています。2020年11月2日以降の海氷域面積については、速報値の観測データを解析しています。
観測や解析の方法については、北極域と南極域の海氷解析の解説を参照してください。

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