海氷域面積の長期変化傾向(オホーツク海)
平成18年8月31日発表
気象庁地球環境・海洋部
診断(2006年)
オホーツク海の海氷域面積には緩やかな減少傾向が見られます。しかし、長期的な変化傾向よりも10年程度の周期の変動のほうが大きく、北極域の海氷域面積のように明らかに減少傾向にあるとはいえません。
これは、オホーツク海の海氷が北部で生成した海氷が風や海流によって運ばれる流氷で構成されることから、年々の大気の流れに大きく支配されることなどによると考えられています。
オホーツク海の海氷域の経年変化(1971~2006年)
- 積算海氷域面積は前年12月からその年の5月までの、5日毎の海氷域面積の合計値。
- 青線は積算海氷域面積の平年値。赤折線は年毎の最大海氷域面積。橙線は最大海氷域面積の平年値。
解説
観測事実
1970年代初めからのオホーツク海の海氷域面積には、積算海氷域面積でみると10年で平年値の6%程度、最大海氷域面積でみると10年で平年値の4%程度の割合の緩やかな減少傾向が見られます。2006年は、積算海氷域面積が1971年の統計開始以降では過去最小、最大海氷域面積も2番目に小さい記録となりました。しかし、長期的な変化傾向よりも10年程度の周期の変動のほうが大きく、北極域の海氷域面積のような明白な減少傾向とはなっていません。研究成果の概要
オホーツク海の海氷域面積の年々変動が大きいのは、オホーツク海の海氷の大部分がオホーツク海北部で生成され、それが風や海流に流されて南下する流氷であるために、その分布が気温だけでなく、風の状況に大きく左右されるためと考えられています。また、初期の海氷域面積(結氷の早晩)がそのシーズン後半まで効き、その年の海氷の多寡を決める要因の1つになっていることも指摘されています。