海氷域面積の長期変化傾向(オホーツク海)
平成20年9月1日発表
気象庁地球環境・海洋部
診断(2008年)
オホーツク海の海氷域面積は年毎に大きく変動していますが、長期的には緩やかに減少しています。 海氷域が年間で最も拡大した時期の面積(最大海氷域面積)は、10年あたり5.53万km2の減少となっています。この値はオホーツク海の全面積の3.5%に相当します。
オホーツク海の海氷域面積の経年変化(1971~2008年)
解説
長期変化傾向
オホーツク海の海氷域面積
オホーツク海の海氷域面積は年毎に大きく変動していますが、長期的に見ると、最大海氷域面積と積算海氷域面積は、それぞれ10年あたり5.53[0.91~10.14]万km2、158.36[28.40~288.32]万km2の緩やかな減少傾向を示しています(角括弧中の数字は95%の信頼区間を示す)。この減少傾向は危険率5%で統計的に有意です。また、この傾向がどの程度人為起源の地球温暖化を反映した変動なのか、研究が進められています。
2007/2008年海氷期の状況
オホーツク海全体の状況
2007年12月から2008年5月におけるオホーツク海の5日ごとの海氷域面積は、シーズン当初より平年より小さい状態が続いていましたが、1月中旬からオホーツク海周辺では冬型の気圧配置が続いたため急速に面積が拡大し、1月下旬に平年並となりました。2月上旬には平年値を上回り、2月10日に今シーズンの最大(110.69万km2)となった後は、オホーツク海で発達した低気圧の影響で気温が高くなったため海氷域面積が縮小し、 2月中旬以降は再び平年より小さい状態で経過しました。特にオホーツク海全域で平年より気温が高い状態が続いた3月半ば以降、海氷域面積は急激に縮小しました。4月に入ってからは比較的ゆるやかに縮小し、5月の後半は平年並となりました。
北海道沿岸の流氷の状況
稚内と釧路では平年と比べて流氷期間が短く、稚内では平年より21日短い9日、釧路では平年より13日短い5日でした。釧路では5年ぶりに流氷を観測し、流氷は十勝地方の沿岸まで達しました。一方、根室の流氷期間は平年より13日長い62日でした。網走の流氷期間は83日とほぼ平年並でしたが、海明けは平年より13日遅い4月6日でした。
備考
- 前年12月5日から5月31日までの期間において、5日ごとに海氷域面積を合計した値を「積算海氷域面積」と呼んでいます。その海氷期のオホーツク海の海氷の勢力をあらわす指標として用います。
- 気象庁では、人工衛星等の観測資料をもとに、オホーツク海、日本海および渤海周辺、北極域と南極域の海氷域の解析および海氷域面積の計算を、オホーツク海で海氷が生成し始める時期から完全に消滅するまで、半旬(毎月5日、10日、15日、20日、25日および月末)ごとに行っています。