海氷域面積の長期変化傾向(オホーツク海)

平成21年6月30日発表

気象庁地球環境・海洋部

診断(2009年)

 オホーツク海の海氷域面積は年ごとに大きく変動していますが、長期的には緩やかに減少しています。各シーズンのオホーツク海の海氷の勢力を表す積算海氷域面積は、10年当たり180万平方キロメートルの減少となっています。今シーズン(2008年12月~2009年5月)の積算海氷域面積は、1971年の統計開始以来の過去最小だった2006年に次いで2番目に小さい記録となりました。
 北海道オホーツク海沿岸では、網走で1946年の統計開始以来最も早い3月17日に流氷終日となり、流氷期間は最も短い43日を記録しました(1991年と1位タイ記録)。

オホーツク海の海氷域面積の経年変化(1971~2009年)

オホーツク海の海氷域面積の経年変化(1971~2009年)


オホーツク海の積算海氷域面積の推移

オホーツク海の積算海氷域面積の推移

平年値は1971年~2000年の平均値。

解説

長期変化傾向

オホーツク海の海氷域面積

 オホーツク海の海氷域面積は年ごとに大きく変動していますが、長期的に見ると、積算海氷域面積(備考参照)は10年当たり180 [50~310] 万平方キロメートルの減少、最大海氷域面積は10年当たり5.6 [1.2~9.9] 万平方キロメートル(オホーツク海の全面積の3.5%に相当)の減少となっています(角括弧中の数字は95%の信頼区間を示す)。また、この傾向がどの程度人為起源の地球温暖化を反映した変動なのか、研究が進められています。


今シーズン(2008年12月~2009年5月)の状況

オホーツク海全体の状況

 今シーズン(2008年12月~2009年5月)のオホーツク海の海氷域面積は、3月初めや5月後半には一時的に平年並又は平年より大きくなりましたが、 シーズンを通じて概ね平年より小さい状態で経過しました(平年値は1971年~2000年の平均値)。このため、今シーズンのオホーツク海の積算海氷域面積は、1971年の統計開始以来の過去最小だった2006年(1651.65万平方キロメートル、平年比64.3%)に次いで2番目に小さい記録(1653.09万平方キロメートル、平年比64.4%)となりました。オホーツク海付近ではシーズン中、西高東低の気圧配置が長続きせず、大陸からの寒気の流入が弱く、北寄りの風が持続しなかったため、海氷域面積が平年より小さく経過したと考えられます。

 オホーツク海の海氷域面積はシーズン当初から平年より小さく経過しました。 12月末から1月初めにかけては、発達した低気圧の影響でオホーツク海上に暖かい空気が流れ込んだため、海氷域面積は1971年の統計開始以来の最小となりました。 その後も2月中旬までは海氷域は平年より小さく経過しましたが、2月下旬以降、オホーツク海北部の上空に強い寒気が入ったため海氷域は急激に拡大し、3月初めには平年並の109.34万平方キロメートルに達し、今シーズン最大となりました。 しかし、その後はオホーツク海を次々と低気圧が通過した影響で、オホーツク海に暖気が入り、また東寄りの風が続いたため、オホーツク海北部を中心に海氷の融解が進み、3月中旬から4月中旬にかけて海氷域面積は過去最小に近い値で経過しました。 海氷域面積はその後も5月前半までは平年よりも小さく経過しましたが、5月後半はサハリン東海上の海氷域の融解が進まず、平年並又は平年より大きくなりました。

北海道沿岸の流氷の状況

 網走では1946年の統計開始以来最も早い3月17日に流氷終日となり、流氷期間は最も短い43日を記録しました(1991年と1位タイ記録)。稚内、釧路、根室では2年ぶりに流氷が観測されませんでした。根室で流氷が観測されなかったのは1946年の統計開始以来4度目で、その全てが1990年以降に発生しています。


備考

  • 気象庁では、人工衛星等の観測資料をもとに、オホーツク海、日本海および渤海周辺の海氷域の解析および海氷域面積の計算を、オホーツク海で海氷が生成し始める時期から完全に消滅するまで、半旬(毎月5日、10日、15日、20日、25日および月末)ごとに行っています。
  • 積算海氷域面積:前年12月5日から5月31日までの期間において、各半旬の海氷域面積を合計した値。そのシーズンのオホーツク海の海氷の勢力をあらわす指標として用いています。

このページのトップへ