海氷域面積の長期変化傾向(オホーツク海)
平成22年6月30日発表
気象庁地球環境・海洋部
診断(2010年)
オホーツク海の海氷域面積は年ごとに大きく変動していますが、長期的には緩やかに減少しています。 海氷域が年間で最も拡大した時期の面積(最大海氷域面積)は、10年あたり5.5万平方キロメートルの減少となっています。この値はオホーツク海の全面積の3.5%に相当します。
北海道オホーツク海沿岸では、網走の海明けが平年より30日早い2月22日となり、1956年の統計開始以来、早い方から3番目の記録となりました。また、稚内、根室、釧路では2年連続で流氷が観測されませんでした。
オホーツク海の海氷域面積の経年変化(1971~2010年)
解説
長期変化傾向
オホーツク海の海氷域面積
オホーツク海の海氷域面積は年ごとに大きく変動していますが、長期的に見ると、最大海氷域面積(備考参照)は10年当たり5.5 [1.3~9.7] 万平方キロメートル(オホーツク海の全面積の3.5%に相当)の減少、積算海氷域面積(備考参照)は10年当たり174 [55~294] 万平方キロメートルの減少となっています(角括弧中の数字は95%の信頼区間を示す)。この傾向が地球温暖化の影響をどの程度反映した変動なのか現在研究が進められています。
今シーズン(2009年12月~2010年5月)の状況
オホーツク海全体の状況
今シーズン(2009年12月~2010年5月)のオホーツク海の海氷域面積は、2月までは平年より小さく経過しましたが、3月以降は概ね平年並又は平年より大きく経過しました。
12月から2月までは、オホーツク海で西高東低の気圧配置が長続きせず、オホーツク海北部を中心に北寄りの風が持続しなかったため、平年より気温が高く、平年に比べ海氷域の拡大が進みませんでした。3月以降は逆にオホーツク海北部を中心に平年より気温が低くなったため、海氷域は平年並又は平年より広い状態が続きました。海氷域面積が最大になったのは3月10日で、その値は最大海氷域面積の平年値(122.83万平方キロメートル)より小さい111.41万平方キロメートルでした。
北海道沿岸の海氷の状況
網走では海明けが平年より30日早い2月22日となり、1956年の統計開始以来早い方から3番目の記録となりました。また、稚内、根室、釧路では2年連続で流氷が観測されませんでした。根室で流氷が観測されなかったのは1946年の統計開始以来5度目で、その全てが1990年以降に発生しています。
備考
- 気象庁では、人工衛星等の観測資料をもとに、オホーツク海、日本海および渤海周辺の海氷域の解析および海氷域面積の計算を、オホーツク海で海氷が生成し始める時期から完全に消滅するまで、半旬(毎月5日、10日、15日、20日、25日および月末)ごとに行っています。
- 最大海氷域面積 : 海氷域が年間で最も拡大した半旬の海氷域面積。
- 積算海氷域面積 : 前年12月5日から5月31日までの期間において、各半旬の海氷域面積を合計した値。そのシーズンのオホーツク海の海氷の勢力をあらわす指標として用いています。