海氷域面積の長期変化傾向(オホーツク海)
平成23年6月30日発表
気象庁地球環境・海洋部
診断(2011年)
オホーツク海の海氷域面積は年ごとに大きく変動していますが、長期的には緩やかに減少しています。オホーツク海の海氷の勢力をあらわす指標である積算海氷域面積(備考参照)は、10年あたり184万平方キロメートルの減少となっています。また、最大海氷域面積(備考参照)は、10年あたり6.0万平方キロメートルの減少となっています。この値はオホーツク海の全面積の3.8%に相当します。
北海道オホーツク海沿岸では、網走の流氷終日が平年より30日早い3月12日となり、 1946年の統計開始以来、最も早い記録となったほか、海明けが平年より27日早い2月21日となり、1956年の統計開始以来、早い方から3番目の記録となりました。また、稚内、釧路では3年連続で流氷が観測されませんでした。
オホーツク海の海氷域面積の経年変化(1971~2011年)
解説
長期変化傾向
オホーツク海の海氷域面積
オホーツク海の海氷域面積は年ごとに大きく変動していますが、長期的に見ると、積算海氷域面積は10年当たり184 [70~298] 万平方キロメートルの減少、最大海氷域面積は10年当たり6.0 [2.0~10.0]万平方キロメートル(オホーツク海の全面積の3.8%に相当)の減少となっています(角括弧中の数字は95%の信頼区間を示す)。この傾向が地球温暖化の影響をどの程度反映した変動なのか現在研究が進められています。
今シーズン(2010年12月~2011年5月)の状況
オホーツク海全体の状況
今シーズン(2010年12月~2011年5月)のオホーツク海の海氷域面積は、概ね平年より小さく経過しました。
今シーズンはオホーツク海で西高東低の気圧配置が長続きせず、大陸からの寒気の流入が弱く、北よりの風が持続しませんでした。このため、平年より気温が高く、平年に比べ海氷域の拡大が進みませんでした。海氷域面積が最大になったのは3月25日で、その値は最大海氷域面積の平年値(116.92万平方キロメートル)より小さい94.54万平方キロメートルでした。
北海道沿岸の海氷の状況
網走では流氷終日が平年より30日早い3月12日となり、1946年の統計開始以来最も早い記録となったほか、海明けが平年より27日早い2月21日となり、1956年の統計開始以来早い方から3番目の記録となりました。また、稚内、釧路では3年連続で流氷が観測されませんでした。
備考
- 気象庁では、人工衛星等の観測資料をもとに、オホーツク海、日本海および渤海周辺の海氷域の解析および海氷域面積の計算を、オホーツク海で海氷が生成し始める時期から完全に消滅するまで、半旬(毎月5日、10日、15日、20日、25日および月末)ごとに行っています。
- 積算海氷域面積 : 前年12月5日から5月31日までの期間において、各半旬の海氷域面積を合計した値。そのシーズンのオホーツク海の海氷の勢力をあらわす指標として用いています。
- 最大海氷域面積 : 海氷域が年間で最も拡大した半旬の海氷域面積。