海氷域面積の長期変化傾向(オホーツク海)
平成26年6月30日発表
気象庁地球環境・海洋部
診断(2014年)
オホーツク海の海氷域面積は年ごとに大きく変動していますが、長期的には緩やかに減少しています。最大海氷域面積(備考参照)は、10年あたり6.0万平方キロメートルの減少となっており、この値はオホーツク海の全面積の3.8%に相当します。また、積算海氷域面積(備考参照)は、10年あたり186万平方キロメートルの減少となっています。
オホーツク海全体では海氷域面積がおおむね平年より小さく経過しましたが、北海道周辺では海氷の融解が例年より遅く、網走の流氷終日が平年より19日遅い4月30日となりました。
オホーツク海の海氷域面積の経年変化(1971~2014年)
解説
長期変化傾向
オホーツク海の海氷域面積
オホーツク海の海氷域面積は、地域的な気温、風や海水温の変化による影響を強く受けるため、年ごとに大きく変動していますが、長期的に見ると、最大海氷域面積は10年当たり6.0 [2.6~9.5] 万平方キロメートル(オホーツク海の全面積の3.8%に相当)の減少、積算海氷域面積は10年当たり186 [86~286] 万平方キロメートルの減少となっています(角括弧中の数字は95%の信頼区間を示す)。
海氷域面積の変動に影響を及ぼす気象や海洋のメカニズムについては、地球温暖化の影響の評価も含めて現在も研究が進められています。今後も海氷域面積の長期的な変動を注意深く監視していく必要があります。
今シーズン(2013年12月~2014年5月)の状況
オホーツク海全体の状況
今シーズン(2013年12月~2014年5月)のオホーツク海の海氷域面積は、全期間を通じておおむね平年より小さく経過しました。
オホーツク海北部では寒気の流入が平年より弱く、海氷域面積が平年より小さく経過しましたが、オホーツク海南部では海氷域面積は平年並で経過しました。オホーツク海全域の海氷域面積が最大になったのは3月5日で、その値は平年(116.92万平方キロメートル)より小さい100.77万平方キロメートルでした。北海道沿岸の海氷の状況
網走では、流氷初日が平年と同じ1月21日、流氷終日が平年より19日遅い4月30日でした。流氷期間は平年より19日長い100日でした。また、稚内では3年連続で流氷が観測され、流氷初日は平年より8日遅い2月21日、流氷終日は平年より12日早い2月28日で、流氷期間は平年より20日短い8日でした。
なお、釧路では6年連続で流氷が観測されませんでしたが、2月上旬に始まったオホーツク海から太平洋への海氷の流出は5月上旬まで続きました。4月下旬には海氷がこの期間としては最も南の、襟裳岬の南東約100キロメートルの北緯41度30分付近まで南下しました。
備考
- 積算海氷域面積 : 前年12月5日から5月31日までの期間において、各半旬の海氷域面積を合計した値。そのシーズンのオホーツク海の海氷の勢力をあらわす指標として用いています。
- 最大海氷域面積 : 海氷域が年間で最も拡大した半旬の海氷域面積。
- 診断に使用した資料 : 人工衛星等の観測資料をもとに、12月5日から5月31日までの期間、半旬(毎月5日、10日、15日、20日、25日および月末)ごとに、オホーツク海、日本海および渤海周辺の海氷の解析結果から求めた海氷域面積。