オホーツク海の海氷分布(年概況)

平成26年9月1日発表
気象庁 地球環境・海洋部

診断概要(2013/2014年)

トピック

 北海道周辺では4月に海氷の融解が遅れ、太平洋へ流出した海氷は4月下旬には襟裳岬の南東約100キロメートル(北緯41度30分付近)まで南下し、 1971年以来、4月としては最も南に達しました。

2013/2014年海氷期の概要

 オホーツク海全域の海氷域面積は、シーズンを通して平年より小さく経過しました。 特に、12月15日から12月25日にかけて、4月20日、5月10日から5月20日にかけて同時期としては1971年の統計開始以来最小となりました(平年値の統計期間:1981~2010年)(図1)。 当シーズンの最大海氷域面積は3月5日の100.77万平方キロメートルで、最大海氷域面積の平年値(116.92万平方キロメートル)を下回りました。
 北海道オホーツク海沿岸への流氷の到来は平年並で、網走と稚内の流氷初日は平年並でした。 釧路では6年連続で流氷が観測されませんでした。流氷の後退は平年より遅く、網走の流氷終日は平年より遅くなりました(表1)。
オホーツク海の海氷域面積(2013年11月~2014年7月)
年別経過図の凡例

図1 オホーツク海の海氷域面積(2013年11月~2014年7月)


表1 流氷に関する現象の初終日一覧表(2013年12月~2014年5月)
( ) : 平年(1981~2010年の平均値)との差。
+ : 平年よりも遅い(又は長い)、-:平年よりも早い(又は短い)。
* : 観測項目にない。
--- : 現象が発生しなかった 。
地点 流氷 流氷接岸初日 海明け
初日 終日 期間
稚内 2.21 (+8) 2.28 (-12) 8 (-20) ---
網走 1.21 (0) 4.30 (+19) 100 (+19) 2.9 (+7) 3.7 (-13)
釧路 --- --- --- ---


1. オホーツク海の海氷状況

2013年10月

10月上旬にオホーツク海北東部のシェリホフ湾で結氷が始まりました。

2013年11月

11月上旬にオホーツク海北西部のシャンタル諸島と間宮海峡でそれぞれ結氷が始まりました。

2013年12月

11月中旬から12月中旬にかけてオホーツク海で低気圧が停滞することが多く、寒気が入りにくい状態でした。 そのため、オホーツク海では気温や海面水温が平年より高く経過し、 オホーツク海全域の海氷域面積は12月を通して平年より小さく、 特に12月15日から25日にかけて同時期としては1971年の統計開始以来最小となりました。 サハリン東岸の海氷域の南端は、12月末時点で平年より北の北緯48.4度付近にありました。

2014年1月

1月に入ってからオホーツク海周辺では冬型の気圧配置が続き、寒気が入り続けたため、 海氷域が急速に拡大し、オホーツク海全域の海氷域面積は1月末には平年並になりました。

2014年2月

2月上旬から2月中旬にかけて、発達した低気圧が次々とオホーツク海を北上し、これに伴い、 オホーツク海北部を中心に上空に暖かい空気が入るとともに、 東よりの風が吹く日が多くなったため、オホーツク海北部で海氷域は縮小しました。 海氷域は2月下旬に拡大しましたが、オホーツク海全域の海氷域面積は2月を通じて平年より小さく経過しました。

2014年3月

オホーツク海全域の海氷域面積は、3月5日に今シーズン最大の100.77万平方キロメートルとなりました。 その後、3月10日にかけてオホーツク海北部を中心に上空に暖かい空気が入るとともに、 東よりの風が吹いて海氷が陸側へ吹き寄せられる日が多くなった影響で、海氷域が大きく縮小しました。 海氷域は、3月中旬に拡大しましたが、3月下旬は縮小しました。 また、ウルップ海峡から太平洋への海氷の流出は3月上旬と3月中旬にみられました。

2014年4月

オホーツク海北部・中部では気温が平年より高く経過したため、海氷域の縮小が進みましたが、 オホーツク海南部では気温が平年より低く経過したため、海氷の融解が遅れ、海氷域は平年に比べて広い状態が続きました。 オホーツク海全域の海氷域面積は、4月を通して平年より小さく経過し、 4月20日には同時期としては1971年の統計開始以来最小となりました。

2014年5月

5月のオホーツク海全域の海氷域面積は、平年より小さい状態で経過しました。 特にオホーツク海南部では、海氷は融解が急速に進み、5月中旬にすべて融解しました。 これにより、オホーツク海全域の海氷域面積は、5月10日から20日にかけて同時期としては1971年の統計開始以来最小となりました。

2014年6・7月

6月中旬にサハリン東海上の海氷、7月初めにシャンタル諸島付近の海氷はすべて融解しました。

2. 北海道オホーツク海沿岸の海氷状況

2014年1月

オホーツク海南部では、1月に入ってから冬型の気圧配置が続き、寒気が入り続けたため、海氷域はおおむね平年並に南下し、 1月下旬には北海道オホーツク海沿岸の所々で海氷が接岸しました。また、網走では平年と同じ1月21日に流氷初日となりました

2014年2月

北海道オホーツク海沿岸では、2月に入ると海氷は広い範囲で接岸しました。 2月下旬は西よりの風が吹く日が多かったため、海氷域は東に移動し、2月末にはサロマ湖より西の海岸で海氷は離岸しました。 海氷の太平洋への流出は、国後水道からは2月を通じて、珸瑶瑁(ごようまい)水道からは2月中旬以降、 択捉海峡からは2月末にみられました。 また、海氷の宗谷海峡から日本海への流出は2月上旬から2月中旬にかけて断続的にみられました。 2月9日には、網走で平年より7日遅い流氷接岸初日となりました。 また、稚内では2月21日に平年より8日遅い流氷初日、2月28日には平年より12日早い流氷終日となりました。

2014年3月

北海道オホーツク海沿岸では、3月を通して知床半島で接岸したほか、3月上旬には能取岬より西でも接岸するところがありました。 海氷の太平洋への流出は、3月を通して珸瑶瑁水道、国後水道及び択捉海峡からみられました。 網走では平年より13日早い3月7日に海明けとなりました。

2014年4月

北海道周辺では4月上旬から中旬にかけて気温が平年より低く経過したため、海氷の融解が遅れました。 北海道オホーツク海沿岸では、サロマ湖の東から知床半島にかけての海岸の所々で海氷が接岸しました。 また、北よりの風の日が多かったため、珸瑶瑁水道からは4月上旬から4月中旬にかけて、 国後水道と択捉海峡からは4月を通して海氷が太平洋に流出し続けました。 また、釧路沖で海面水温が平年より低い状態が続いたため、4月下旬には太平洋に流出した海氷が襟裳岬の南東約100キロメートル(北緯41度30分付近)まで南下し、 現在の手法による海氷解析の開始(1971年)以来、4月としては最も南に達しました。 網走の流氷終日は平年より19日遅い4月30日となりました。

2014年5月

5月上旬に北海道周辺の海氷はすべて融解しました。

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