オホーツク海の海氷分布(年概況)

平成27年6月30日発表
気象庁 地球環境・海洋部

診断概要(2014/2015年)

トピック

 オホーツク海の海氷域面積は、2015年2月10日から3月25日にかけて同時期としては1971年の統計開始以来最小となりました。 また、最大海氷域面積は1970/1971年の統計開始以来最小となりました。

2014/2015年海氷期の概要

 オホーツク海全域の海氷域面積は、シーズンを通して平年より小さく経過しました。 特に、2月10日から3月25日にかけて同時期としては1971年の統計開始以来最小となりました(図1)。 当シーズンの最大海氷域面積は2月28日の67.48万平方キロメートルで、平年値の116.92万平方キロメートルを大きく下回り、1970/1971年の統計開始以来最小となりました。
 北海道オホーツク海沿岸への流氷の到来は平年より早く、網走の流氷初日及び流氷接岸初日は平年より早くなりました。 流氷の後退は平年より早く、網走の流氷終日は1946年の統計開始以来最も早い記録となりました。 稚内と釧路では流氷が観測されませんでした(表1)。釧路では7年連続で流氷が観測されていません。
オホーツク海の海氷域面積(2014年11月~2015年7月)
年別経過図の凡例

図1 オホーツク海の海氷域面積(2014年11月~2015年7月)


表1 流氷に関する現象の初終日一覧表(2014年12月~2015年5月)
( ) : 平年(1981~2010年の平均値)との差。
+ : 平年よりも遅い(又は長い)、-:平年よりも早い(又は短い)。
* : 観測項目にない。
--- : 現象が発生しなかった 。
地点 流氷 流氷接岸初日 海明け
初日 終日 期間
稚内 --- --- --- ---
網走 1.12 (-9) 3.8 (-34) 56 (-25) 1.19 (-14) 3.3 (-17)
釧路 --- --- --- ---


1. オホーツク海の海氷状況

2014年10月

10月中旬にオホーツク海北東部のシェリホフ湾で結氷が始まりました。

2014年11月

11月上旬にオホーツク海北西部のシャンタル諸島付近と間宮海峡でそれぞれ結氷が始まりました。

2014年12月

オホーツク海北部では、11月から12月にかけて気温がおおむね平年より高く経過したため、海氷域が平年より拡大せず、 オホーツク海全域の海氷域面積はおおむね平年より小さく経過しました。 サハリン東岸の海氷域は12月下旬に寒気の影響と北または北西の風が吹く日が多かったため急速に南下し、南端は12月末時点で平年より南の北緯46.1度付近にありました。

2015年1月

オホーツク海では、北部を中心に1月は平年より気温が高く、また、オホーツク海北部、中部では1月上旬から1月中旬にかけて東よりの風の日が多かったため、 1月上旬には海氷域は一時的に縮小しました。海氷域は1月中旬に再び拡大しましたが、平年に比べ海氷域の拡大が進まず、海氷域面積は1月を通じて平年より小さく経過しました。
一方、オホーツク海南部では12月下旬から1月中旬にかけて北または北西の風が吹く日が多かったため、海氷域の南下は平年より早くなりました。

2015年2月

2月はサハリンの東を中心に気温が平年より高かったことと、オホーツク海北部で海氷が東よりの風で大陸側に吹き寄せられたため、海氷域の拡大が進まず、一時的に減少する時期もありました。 そのため、海氷域面積は平年より小さく経過し、2月10日以降、この時期としては1971年の統計開始以来最小で推移しました。 また、今シーズンのオホーツク海の最大海氷域面積は、2月28日に記録した67.48万平方キロメートルで、1970/1971年の統計開始以来最小の値でした。

2015年3月

3月はオホーツク海では引き続き気温が平年より高く、北西の風が弱く海氷域が拡大しにくかったため、 オホーツク海の海氷域面積は3月を通して過去最小水準で推移しました。

2015年4月

オホーツク海では、4月上旬には北部を中心に寒気が入り西よりの風が吹く日が多かったため、一時的に海氷域が拡大しましたが、 4月中旬以降海氷の融解が進みました。オホーツク海全域の海氷域面積は4月を通して平年より小さく経過しました 。

2015年5月

オホーツク海全域の海氷域面積は、4月から引き続き5月上旬は平年より小さく経過しましたが、 5月上旬から中旬にかけて気温が平年より低かったため、サハリン東海上の海氷の融解が進まず、5月中旬以降は平年並となりました。

2015年6・7月

6月中旬にサハリン東海上の海氷、7月下旬にシャンタル諸島付近の海氷はすべて融解しました。

2. 北海道オホーツク海沿岸の海氷状況

2015年1月

1月初めに海氷域は北緯45度以南まで南下しましたが、低気圧の通過に伴い上空に暖かい空気が入ったため、北緯45度以南の海氷は一時的に融解しました。 1月中旬に海氷域は再び南下し、北海道オホーツク海沿岸に海氷が接岸しました。1月中旬には海氷の一部が根室海峡に流入しました。 また、海氷は国後島に接岸し、海氷の一部は国後水道から太平洋に流出しました。
なお、網走では平年より9日早い1月12日に流氷初日を、また、平年より14日早い1月19日に流氷接岸初日を観測しました。

2015年2月

北海道付近を低気圧が次々と通過した影響で、北海道オホーツク海沿岸では海氷は接岸と離岸を繰り返しました。 海氷の一部は2月を通じて根室海峡に流入したほか、2月上旬に宗谷海峡に流入しました。また、海氷の太平洋への流出は、 2月上旬と2月下旬に珸瑶瑁(ごようまい)水道から、2月下旬に国後水道からみられました。

2015年3月

3月上旬は北海道オホーツク海沿岸の所々に海氷が接岸しましたが、3月中旬に発達した低気圧が北海道付近を通過したのに伴い、 暖かい空気が入り、気温が高くなったため、北海道周辺の海氷は融解が急速に進み、 3月末には海氷域の南端が北緯45度以北まで後退しました。 また、3月中旬まで海氷は太平洋へ流出し、珸瑶瑁水道から流出した海氷の一部は、根室半島の太平洋側に所々で接岸しました。 網走の流氷終日は平年より34日早い3月8日となり、 1946年の統計開始以来最も早い記録となりました。

2015年4月

北海道周辺の海氷は融解が進み、北緯46度以南の海氷は4月中旬にすべて融解しました。

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