オホーツク海の海氷分布(年概況)

平成28年6月30日発表
気象庁 地球環境・海洋部

診断概要(2015/2016年)

トピック

オホーツク海の最大海氷域面積は平年並となりました。 網走の流氷接岸初日は、1959年の統計開始から流氷接岸初日を観測した中で最も遅い日となりました。

2015/2016年海氷期の概要

オホーツク海全域の海氷域面積は、平年並か平年より小さく経過しました(図1)。 当シーズンの最大海氷域面積は2月29日の116.48万平方キロメートルで、平年値の116.92万平方キロメートルとほぼ同じでした。
オホーツク海南部の海氷域は、1月前半まで平年並に南下していましたが、その後南下が進まなかった時期があったため、 網走では流氷初日は平年より遅く、流氷接岸初日は1959年の統計開始から流氷接岸初日を観測した中で最も遅い日となりました。 流氷の後退は平年より早く、網走の海明け及び流氷終日は平年より早くなりました。 稚内では流氷を観測したのは3月4日のみでした。 釧路では8年連続で流氷が観測されていません(表1)。
オホーツク海の海氷域面積(2015年11月~2016年7月)
年別経過図の凡例

図1 オホーツク海の海氷域面積(2015年11月~2016年7月)


表1 流氷に関する現象の初終日一覧表(2015年12月~2016年5月)
( ) : 平年(1981~2010年の平均値)との差。
+ : 平年よりも遅い(又は長い)、-:平年よりも早い(又は短い)。
* : 観測項目にない。
--- : 現象が発生しなかった 。
地点 流氷 流氷接岸初日 海明け
初日 終日 期間
稚内 3.4 (+19) 3.4 (-8) 1 (-27) ---
網走 1.28 (+7) 3.18 (-24) 51 (-30) 2.22 (+20) 2.28 (-20)
釧路 --- --- --- ---


1. オホーツク海の海氷状況

2015年10月

10月下旬にオホーツク海北東部のシェリホフ湾で結氷が始まりました。

2015年11月

11月上旬にオホーツク海北岸、オホーツク海北西部のシャンタル諸島付近及び間宮海峡、 11月下旬にサハリン東岸でそれぞれ結氷が始まりました。

2015年12月

12月上旬にテルペニヤ湾で結氷が始まりました。 12月はサハリン周辺を中心に気温が平年より高く経過したため、オホーツク海の海氷域面積は、12月を通して平年より小さく経過しました。 サハリン東岸の海氷域の南端は、12月31日時点で平年より北の北緯47.8度付近となりました。

2016年1月

オホーツク海では、1月上旬は寒気の影響で海氷域は急速に拡大したものの、 1月中旬は冬型の気圧配置が続かず、 また、オホーツク海北部やサハリン周辺を中心に気温が平年より高く経過したため、海氷域の拡大は進みませんでした。 1月下旬は冬型の気圧配置が続き、寒気が入り続けたため、海氷域は再び急速に拡大しましたが、 海氷域面積は1月を通じておおむね平年より小さく経過しました。

2016年2月

オホーツク海では、1月下旬から2月の初めにかけて冬型の気圧配置となる日が多く、海氷域は急速に拡大しました。 その後は低気圧や気圧の谷が周期的に通過したため冬型の気圧配置が長続きせず、2月5日から2月15日までの海氷域の拡大が緩やかになり、 2月15日まではオホーツク海全域の海氷域面積は平年より小さく経過しました。 2月15日以降オホーツク海北部を中心に強い寒気が入ったため、海氷域は再び急速に拡大し、2月20日以降のオホーツク海全域の海氷域面積は平年並になりました。 なお、今シーズンのオホーツク海の最大海氷域面積は、2月29日に記録した116.48万平方キロメートルで、最大海氷域面積としては平年並でした。

2016年3月

3月に入るとオホーツク海の海氷域面積は減少しましたが、3月中旬まで平年並で経過しました。 3月下旬はオホーツク海北部を中心に気温が平年より高く経過したため海氷の融解が進み、 また、東よりの風の吹く日が多かったため、海氷域は縮小し、オホーツク海の海氷域面積は平年より小さく経過しました。

2016年4月

4月前半のオホーツク海全域の海氷域面積は平年より小さく経過しました。 4月中旬にオホーツク海北部を中心に気温が平年より低くなったため、海氷の融解が緩やかになり、 4月後半のオホーツク海全域の海氷域面積は平年並となりました。

2016年5月

5月上旬のオホーツク海の海氷域面積は、4月後半から引き続き平年並で経過しました。5月中旬以降は、オホーツク海の気温が平年より高くなったため、海氷の融解が進み、海氷域面積は平年より小さく経過しました。
5月末には、オホーツク海北西部からサハリン北部にかけての海域や、北東部の一部の海域を除き、オホーツク海の海氷はほとんど融解しました。

2016年6・7月

7月下旬にシャンタル諸島付近の海氷はすべて融解しました。

2. 北海道オホーツク海沿岸の海氷状況

2016年1月

オホーツク海南部の海氷域は、1月に入って冬型の気圧配置が続き、平年並に南下していましたが、 1月中旬に発達した低気圧が北海道付近を通過した影響で南下は進みませんでした。 低気圧の通過後は強い冬型の気圧配置となり海氷域は再び南下し、 網走では平年より7日遅い1月28日に流氷初日となりました。

2016年2月

北海道のオホーツク海沿岸では2月上旬から中旬にかけて冬型の気圧配置が長続きしなかったため、 北よりの風が続かず海氷の南下が進みませんでしたが、2月下旬は低気圧の通過や冬型の気圧配置により、 強い北よりの風の吹く日があったため海氷は南下し、所々で接岸しました。 また、海氷の根室海峡への流入は一時的でした。海氷の宗谷海峡への流入は断続的にみられ、2月末に日本海へ流出しました。
網走で2月22日に平年より20日遅く流氷接岸初日を観測しました。 これは、1959年の統計開始から流氷接岸初日を観測した中で最も遅い日となりました。 また、網走では2月28日に平年より20日早い海明けとなりました。

2016年3月

オホーツク海南部では、3月は気温が平年より高く、西または南よりの風の吹く日が多く、 北海道オホーツク海沿岸に接岸していた海氷域は、3月末にはすべて沖合に離れました。 また、3月中旬から3月下旬にかけて国後水道から太平洋へ海氷の一部が流出しました。 海氷の宗谷海峡への流入や日本海への流出は3月上旬にみられ、 稚内では3月4日に平年より19日遅い流氷初日、平年より8日早い流氷終日となりました。 網走の流氷終日は平年より24日早い3月18日となりました。

2016年4月

北海道周辺の海氷は融解が進み、北緯46度以南の海氷は4月中旬にすべて融解しました。

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