オホーツク海の海氷分布(年概況)

令和2年6月30日発表
気象庁 地球環境・海洋部

診断概要(2019/2020年)

トピック

オホーツク海の最大海氷域面積は平年より小さくなりました。
網走の流氷初日は1946年の統計開始以来2番目に遅い記録となりました。

2019/2020年海氷期の概要

オホーツク海全域の海氷域面積は1月中旬から3月中旬までおおむね平年並、その他の期間は平年より小さく経過しました(図1)。当シーズンのオホーツク海の最大海氷域面積は、2月29日に記録した105.61万平方キロメートルで、平年より小さくなりました。
北海道オホーツク海沿岸における海氷の到来は、1月中旬から下旬にかけてオホーツク海南部で北風が長続きしなかったため、流氷初日は稚内、網走ともに平年より遅く、網走では1946年の統計開始以来2番目に遅い記録となりました。一方、流氷終日は稚内で平年並、網走で平年より早くなりました。釧路では3年連続で流氷は観測されませんでした。
オホーツク海の海氷域面積(2019年11月~2020年5月)
年別経過図の凡例

図1 オホーツク海の海氷域面積(2019年11月~2020年7月)


表1 流氷に関する現象の初終日一覧表(2019年12月~2020年5月)
地点 流氷 流氷接岸初日 海明け
初日 終日 期間
稚内 3.6 (+21) 3.10 (-2) 5 (-23) ---
網走 2.9 (+19) 4.3 (-8) 55 (-26) 2.11 (+9) 3.16 (-4)
釧路 --- --- --- ---
( +n )
平年(1981~2010年の平均値)との差。平年よりも n 日遅い(または長い)
( –n )
平年(1981~2010年の平均値)との差。平年よりも n 日早い(または短い)
    *    
観測(または統計)項目にない
  –––
現象が発生しなかった

1. オホーツク海の海氷状況

2019年10月

10月中旬にシェリホフ湾で結氷が始まりました。

2019年11月

11月上旬に間宮海峡とシャンタル諸島周辺、11月中旬にオホーツク海北岸、11月下旬にサハリン東岸で、それぞれ結氷が始まりました。

2019年12月

12月上旬にテルペニヤ湾で結氷が始まりました。
12月はオホーツク海北部に低気圧が停滞することが多かったため、北部を中心に気温が平年より高く経過しました。また、低気圧の北側では東風により海氷が大陸側に吹き寄せられました。そのため、オホーツク海北部で海氷域の拡大が進まず、海氷域面積は平年より小さく経過しました。一方、サハリン東岸の海氷域の南下は平年並で、その南端は12月31日時点で北緯46.8度付近となりました。

2020年1月

オホーツク海では前月に引き続き1月上旬まで海氷域面積は平年より小さく経過しましたが、中旬以降は北部を中心に西風の吹く日が多く海氷域の拡大が進み、オホーツク海全域の海氷域面積は平年並で経過しました。

2020年2月

2月10日頃に低気圧の影響により北部で海氷が西に吹き寄せられ、海氷域面積は一時平年よりも小さくなる時期がありましたが、中部と南部では海氷域の拡大が進み、オホーツク海全域の海氷域面積はおおむね平年並で経過しました。
今シーズンのオホーツク海の最大海氷域面積は、2月29日に記録した105.61万平方キロメートルで、最大海氷域面積としては平年より小さくなりました。

2020年3月

3月上旬は冬型の気圧配置が長続きせず、寒気の吹き出しが弱かったため、オホーツク海全体の海氷域面積は徐々に減少しましたが、平年並の範囲内で推移しました。3月中旬には発達した低気圧の影響で海氷域が一時的に拡大しましたが、3月下旬には南からの暖気の流入で海氷の融解が急速に進み、オホーツク海全域の海氷域面積は平年より小さくなりました。

2020年4月

オホーツク海では前月に引き続き気温が平年より高く経過したため、海氷の融解が進みました。また、4月上旬には低気圧の影響でサハリンの東の海氷が岸に吹き寄せられたことにより、海氷域面積は大きく減少しました。このため、オホーツク海全域の海氷域面積は月を通して平年より小さく経過しました。

2020年5月

オホーツク海では、北部の気温が平年より高く経過し、海氷の融解が進みました。このため、オホーツク海全域の海氷域面積は4月に引き続き月を通して平年より小さく経過しました。

2020年6・7月 (8月7日追記)

6月下旬にサハリン東岸の海氷、7月下旬にシャンタル諸島付近の海氷は、すべて融解しました。


2. 北海道オホーツク海沿岸の海氷状況

2020年1月

オホーツク海南部では、1月上旬にサハリン東岸付近を低気圧が南下し、その後、一時的に冬型の気圧配置となったため、海氷の南下が進んだ時期がありました。しかし、1月中旬から下旬にかけては低気圧や気圧の谷が通過することが多く冬型の気圧配置となる日が少なかったため、北風が長続きせず、海氷の北海道オホーツク海沿岸への到来は平年に比べ遅くなりました。海氷域は西風により東に流され、1月下旬には一時、知床半島に接近し海氷の一部が根室海峡に流入しましたが、1月30日から31日にかけて発達した低気圧が北海道付近を通過した影響により、北緯45度以南の海氷はほぼ融解しました。

2020年2月

2月上旬、オホーツク海南部では冬型の気圧配置となり北風が吹く日が多く、海氷域の南下が進み、北海道オホーツク海側の海岸の一部で接岸しました。その後、海氷の接岸する範囲は次第に広がり、網走では平年より19日遅い2月9日に流氷初日、平年より9日遅い2月11日に流氷接岸初日を観測しました。なお、網走の流氷初日は1946年の統計開始以来2番目に遅い記録となりました。中旬以降は、気圧の谷や低気圧の通過に伴い海氷が海岸から一時的に離れる所がありましたが、北海道オホーツク海側から国後島にかけての広い範囲で接岸が続きました。また、2月中旬後半以降、海氷の一部は国後水道から太平洋へ流出しました。宗谷海峡では、月を通して小規模な海氷の流入が断続的にみられましたが、日本海への流出は一時的でした。

2020年3月

3月上旬は低気圧の影響で東風の吹く日が多く、海氷は北海道オホーツク海側の広い範囲で接岸しました。海氷の一部は宗谷海峡から日本海に流出し、稚内では平年より21日遅い3月6日に流氷初日となりました。3月中旬から下旬にかけては、海氷は次第に融解しながら東へ移動しました。そのため、北海道オホーツク海側では海氷が離岸する所が多くなり、稚内では平年より2日早い3月10日に流氷終日、また網走では平年より4日早い3月16日に海明けとなりました。また、海氷の一部は月を通して国後水道から太平洋へ流出し、3月下旬には択捉海峡からも太平洋に流出しました。

2020年4月

海氷の太平洋への流出は4月上旬に終息しました。オホーツク海南部の海氷は急速に融解が進み、4月中旬には北緯46度以南の海氷はすべて融解しました。
網走では平年より8日早い4月3日に流氷終日となりました。

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