日本沿岸の海面水位の長期変化傾向

平成18年2月10日発表

気象庁地球環境・海洋部

診断(2005年)

ここ100年の日本沿岸の海面水位は、全球の海面水位のような単調な上昇はみられず、約20年周期の変動が顕著です。一方で、1980年代半ば以降、最近約20年間(1985~2005年)については大きな上昇率(3.8mm/年)を示し、2004年は過去100年で最も高くなりました。



海面水位変動図

海面水位変動(1906~2005年)

検潮所地図

検潮所地図

日本沿岸で約100年間の潮位記録を持ち、地盤変動の影響が小さい5地点(右図)の検潮所を選択しています。地点毎に年平均海面水位の約百年の平均を算出し、年平均海面水位から百年平均値を引いた値を5地点で平均した値の推移を示しています。赤線は5年移動平均値を示します。


解説

気候変動に関する政府間パネル(IPCC:Intergovernmental Panel on Climate Change)第3次評価報告書によると「20世紀に、地球の平均海面水位は0.1~0.2m上昇し、地球の平均海面水位は,1990年から2100年までに0.09~0.88m上昇すると予測される。この上昇の大部分は、熱膨張及び氷河と氷帽の融解による。」と結論づけられています。しかし、日本の沿岸の海面水位について、ここ100年間の変動を調べると、約20年周期の変動が卓越していて、単調な上昇はみられません。一方で1980年代半ば以降の最近約20年間の海面水位は年あたり3.8mmの上昇を示し、2004年は過去100年で最も高くなりました。
2005年の海面水位は2004年と比べて4.8cm低下し、過去100年の平均に対して1.9cm高くなっています。
約20年周期の変動については主に北太平洋の偏西風の強弱や南北移動を原因としていることが数値モデルを用いた解析により明らかになってきています。また、東シナ海では表層水温の上昇にともなう海水の膨張量と沿岸の海面水位の上昇に良い対応がみられます。
近年の水位上昇については地球温暖化による海水の増加や熱膨張の影響が懸念されており、その量的評価に現在取り組んでいます。

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