海洋気象観測船による観測(令和6年5月20日~5月27日)(黒潮続流)
令和6年5月31日 気象庁発表
観測結果
気象庁の海洋気象観測船「啓風丸」は、5月20日~5月27日に図1のA点からL点の航路に沿って黒潮続流および黒潮続流から切離した暖水渦の観測を実施しました。
図1の黒い矢印は、観測船が観測した海流の速さと向きを表します。黒潮続流から切離した暖水渦とみられる強い流れが、B点(北緯40.4度、東経144.5度、2.9ノット)、C点(北緯39.8度、東経146.3度、3.2ノット)、G点(北緯41.2度、東経145.8度、3.1ノット)、H点(北緯39.7度、東経145.3度、3.2ノット)で観測されました。また、黒潮続流の強い流れはI点(北緯37.5度、東経145.1度、2.9ノット)とK点(北緯36.1度、東経142.0度、3.3ノット)で観測されました。
図2と図3は、航路上のF点からJ点を結ぶ観測ラインに沿った海洋内部の水温と塩分を示します。北緯40.5度付近を中心に、水温・塩分が周囲より高く、等温線が下に凸の構造を示しています。これらは、図4で見られる暖水渦に対応しており、渦を中心に黒潮系の水が含まれていることを示しています。また、黒潮続流の流れが観測されたI点付近では、水温の水平勾配が大きくなっています。
黒潮続流の北上とそこから切離した暖水渦の影響により、北海道南東方と本州東方の海水温は記録的に高い状態が続いています。
参考:「三陸沖の海洋内部の水温が記録的に高くなっています」(令和5年8月9日発表)
図1 海洋気象観測船「啓風丸」が観測した海流(令和6年5月20日~5月27日)
赤色の細実線は啓風丸の航路を、黒色の矢印は海流の速さと向きを表します。
青色の太破線の矢印は、気象庁の数値モデル等による解析結果をもとにした5月26日頃の黒潮続流と黒潮続流から切離した暖水渦の位置を示します。
図2 水温の深さ方向の分布(図1のF点~J点の観測ライン)
啓風丸による令和6年5月25日から26日の観測結果を示します。
図中のF~J記号は、図1に対応します。
図3 塩分の深さ方向の分布(図1のF点~J点の観測ライン)
啓風丸による令和6年5月25日から26日の観測結果を示します。
図中のF~J記号は、図1に対応します。
図4 深さ200mの水温分布図(令和6年5月26日)
海洋大循環モデルとデータ同化による算出結果を示します。
図中の赤線は図2と図3で示した分布図の位置を示します。図中のF、Jの記号は、図1に対応します。