最終氷期以降の氷河性地殻均衡(GIA:Glacial Isostatic Adjustment)による地盤変動の影響
IPCC海洋・雪氷圏特別報告書(2019)に掲載されている世界平均の海面水位の解析においては、 最終氷期以降の氷河性地殻均衡(GIA)による地盤変動の影響が大きい地域が含まれることから、地球温暖化による海面水位の変化を見積もるため、 最終氷期以降のGIAによる地盤変動の影響を補正しています。
GIAによる相対的海面水位変化の地域分布(mm/年)(Peltier(2004)のデータをもとに作図)
GIAによる地盤変動を再現したモデル結果によると、日本沿岸では陸地が上昇しているので、 潮位計で観測される日本沿岸の海面水位の上昇率は、地球温暖化を含めた海洋起源の海面水位上昇を過小評価していると考えられます。
関連情報
海洋の知識
- 世界の過去及び将来の海面水位変化(IPCC海洋・雪氷圏特別報告書より)
- 氷河性地殻均衡(GIA:Glacial Isostatic Adjustment)
参考文献
- IPCC, 2019: Summary for Policymakers. In: IPCC Special Report on the Ocean and Cryosphere in a Changing Climate[H.-O. Portner, D.C. Roberts, V. Masson-Delmotte, P. Zhai, M. Tignor, E. Poloczanska, K. Mintenbeck, M. Nicolai, A. Okem, J. Petzold, B. Rama, N. Weyer (eds.)]. In press.
- Peltier W.R 2004 Global Glacial Isostasy and the Surface of the Ice-Age Earth: The ICE-5G(VM2) model and GRACE. Ann. Rev. Earth. Planet. Sci. 2004. 32,111-149.