臨時診断表 2014年5月のオホーツク海低温水の釧路沖への流出について
平成26年5月27日発表
気象庁 地球環境・海洋部
診断
- 気象庁観測船「凌風丸」は、釧路沖の100m以浅で著しい低温、低塩分の海水を観測しました。
- オホーツク海の低温・低塩分の海水が釧路沖に顕著に流出しているものと考えられます。
図1 釧路沖の観測点Bにおける観測開始(2003年)以降の各年の5月の深さ方向の水温と塩分 今年(青色)は、100m以浅の水温、塩分が2003年以降最も低く、水深25~80m付近(赤破線内)では0℃以下となっています。 なお、塩分の値は重量比1/1000で示しています。 |
図2 海洋気象観測船「凌風丸」の観測経路 |
図3 図1のA、B、Cに沿って観測した水温の分布(℃) |
図4 海面水温平年差分布図(2014年5月25日)(解析結果) 内湾域等は、薄い灰色で示しています。 平年値は1981年から2010年の平均値です。この図の海面水温は速報値です。 |
解説
海洋気象観測船「凌風丸」による観測
- 海洋気象観測船「凌風丸」は、5月11日に、釧路沖の観測点B(図2)で、水深25~80m付近において0℃以下の低温の海水を確認しました(図1、図3)。観測点Bの表層水温(海面から100m付近まで)は、5月の観測としては同点の観測開始(2003年)以降*、最も低くなっています。
- 塩分も、5月の観測としては2003年以降*最も低くなっています(図1)。
- この低温で低塩分の海水はオホーツク海から流出したものと考えられます。
(*ただし、2012年の観測値はありません)
海面水温解析
- 釧路沖から襟裳岬南東沖にかけて、3月以降、海面水温が平年よりかなり低くなっています(図4)。
- 北海道南東方の海面水温は2014年3月と4月、それぞれ過去30年で同月の最低でした(表)。
- 海面水温がかなり低い海域は5月中旬にやや縮小しましたが、5月下旬になってまた拡大しています。
- これらの低温の原因のひとつとして、オホーツク海の低温の海水が太平洋へ流出したことが考えられ、凌風丸は、この低温の海水を観測しました。
見通し
北海道南東方の海面水温は、向こう1か月平年より低く、釧路沖から襟裳岬南東沖では平年よりかなり低い海域が引き続きみられるでしょう。
参考情報:海面水温・海流1か月予報
問い合わせ先
気象庁 地球環境・海洋部 海洋気象課 電話 03-3212-8341(内線5128)
気象庁 地球環境・海洋部 海洋気象課 海洋気象情報室 電話 03-3212-8341(内線5127)
参考資料
表:北海道南東方(北緯40~45度、東経140~150度)の旬、月平均海域平均海面水温(解析結果)
2014年 | 旬 | 月 | |||
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海面水温(℃) | 平年差(順位) (℃) | 海面水温(℃) | 平年差(順位) (℃) | ||
3月 | 上旬 | 2.6 | -0.9 (2位) | 2.5 | -1.1 (1位) |
中旬 | 2.3 | -1.3 (1位) | |||
下旬 | 2.6 | -1.1 (2位) | |||
4月 | 上旬 | 2.8 | -1.3 (2位) | 3.2 | -1.5 (1位) |
中旬 | 2.9 | -1.7 (1位) | |||
下旬 | 3.6 | -1.4 (1位) | |||
5月 | 上旬 | 4.6 | -0.8 (5位) | - | - |
中旬 | 6.1 | -0.4 (9位) |