親潮

親潮とは

親潮は、千島列島に沿って南下して日本の東まで達する寒流で、日本の南を流れる黒潮とともに日本近海にみられる代表的な海流です。 また、海流ではなく、北海道東方や釧路沖、三陸沖などに存在する低温・低塩分で溶存酸素量が多く、 栄養塩に富んだ水を親潮ということもあります。

親潮の名は、栄養塩が多く、魚類や海藻類を養い育くむ親にあたることに由来すると言われています。 黒潮が青や紺色をしているのに対し、親潮は緑や茶色がかった色をしています。

親潮の起源は?

北太平洋には北と南に大きな二つの循環があります。 北側のものは親潮を含むもので、反時計回りに流れていて、亜寒帯循環と呼ばれています。 南側のものは黒潮を含むもので、おおむね北緯40度以南を時計回りに流れていて、亜熱帯循環と呼ばれています。

亜寒帯循環はベーリング海を出ると東カムチャッカ海流として千島列島沿いを南西に流れます。 その一部はオホーツク海に入り、オホーツク海を循環してウルップ海峡などから再び太平洋に出ます。 そのとき、千島列島沿いをそのまま南西に流れてきたものと、海水の交換・混合が起こり、親潮が生成されます。

親潮の流れ

親潮の流れ

親潮の流れの特徴

親潮は流れとしては弱く、流速は速いときでも 1ノット(約0.5m/s)を超える程度ですが、 深いところまで流れがあるため流量は大きく、最近の調査では黒潮に匹敵する流量になりうることも分かってきました。 本州東方海域では、親潮の水は舌状に南方に張り出して来ることが多く、このような舌状の冷水部を三陸地方の沿岸側から、 親潮の沿岸寄りの分枝(第1分枝)、沖合の分枝(第2分枝)と呼びます。 親潮は日本東方海域に達した後、大部分は亜寒帯海流として東に向かいます。 親潮の南側の端には親潮前線が形成され、この前線を境にして南北で水温、塩分が大きく異なります。

親潮の南限緯度の季節変化

親潮は1月頃から本州東岸に沿って南下するようになり、4月頃最も南に張り出して宮城県沖付近まで達します。時には茨城県沖付近まで達することがあります。 その後は次第に南下の度合いは弱くなり、11〜12月頃には釧路沖付近まで後退します。 このような季節変化は、主に冬の季節風によって親潮の南下が促進されるために起こると考えられています。

親潮南限の季節変化

親潮の南限緯度の季節変化

 気象庁の旬毎の表層水温解析値による、東経141度〜148度における親潮(深さ100mの水温が5℃以下)の南限緯度の季節変化を表しています。 太い黒線は平年の位置(1971〜2000年の平均)で、緑の部分は平年並の範囲(1971年〜2000年の30年間の南限位置を南から順に並べて、上位と下位1/3を除いた中央1/3の範囲)です。 黄色は、1971〜2000年の30年間の親潮の南限位置の、上位1/10および下位1/10を除いた範囲を示します。
 南北の位置的な関係を示すために地図を重ねて表示しています。

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